佐々木朗希の契約で「見放される10代が…」 米記者が問題視、MLBの契約制度は「破綻している」
米名物記者が危惧する「意図しない結果」とは
ポスティングシステムによる米大リーグ(MLB)移籍を目指す佐々木朗希投手について、その契約がもたらしかねない意外な影響を米名物記者が指摘した。佐々木に限らず、海外フリーエージェント(FA)選手との契約システムを「ずっと以前から破綻している」と問題視。今回、佐々木を獲得した球団がラテンアメリカの有望株との口頭契約を破ることになるだろうと予測し、「それを許すべきではない」と提言した。 【画像】「23歳のスターが袖を通す?」 佐々木朗希がドジャースユニを着たコラ画像 23歳の佐々木はポスティングシステムを活用してのメジャー移籍を目指している。ただ現行のMLBの労使協定では、25歳未満の海外FA選手の契約金や年俸総額が制限される「25歳ルール」の対象となり、マイナー契約しか結ぶことができない。また、同ルール対象選手の獲得に使える金額は各球団に割り当てられた「国際ボーナスプール」の枠内に制限される。 この複雑な状況が抱える問題について、米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」は「ロウキ・ササキが契約した時、他の海外アマチュアが被害を被る。そうなるべきではない」と題する記事を掲載。名物記者のケン・ローゼンタール氏の署名入りで「彼と契約したチームから見放される10代のラテンアメリカの有望株がいるかもしれない」という「意図しない結果」の可能性を指摘した。 記事では、「彼(佐々木)が選ぶチームはほぼ間違いなく、ボーナスプールを全て彼に費やし、メジャーからさらに遠いラテンアメリカの選手との既存の口約束を破ることになるだろう」と予想。限られた海外FAの資金を佐々木につぎ込む獲得競争が起きることで、“内定”していた若手有望株の契約が反故になる可能性に懸念を示した。 MLB球団はしばしばドミニカ共和国などのラテンアメリカを中心に、早ければ12歳から若手有望株と口頭契約を結んできた。正式に契約を結べるのは16歳になってから。いざその年齢を迎える段階になって球団が佐々木を獲得すれば、後回しにされるかもしれないというのだ。もっとも、これは佐々木以外の選手の契約でも起き得る問題。「彼らから人生を変えるようなお金を奪うのは間違っている。野球界はそれを許すべきではない」と厳しい声を上げた。 ローゼンタール記者は「海外選手と契約するシステムは、ずっと以前から破綻している」とバッサリ。2022年にMLB機構と選手会が国際ドラフトの導入に合意していれば、起きなかった事態だと持論を展開した。「完璧な答えはない」としつつ、佐々木を特例扱いしたり、佐々木の契約で弾き出された選手を他球団が獲得できるようにボーナスプールを拡大するなどの“救済策”の必要性を説いた。
THE ANSWER編集部