この秋の長野のクマ出没予想 北部の県境付近で増える?
今年の秋は長野県北部の県境付近でクマの出没が増える可能性――。長野県はこの秋のツキノワグマの出没予想を発表しました。ドングリなど木の実のなり具合を調べて、豊作か凶作かの状況によりクマの人里への出没を予想。今回は目立った豊凶傾向はありませんが、県北部で全般に木の実の結実が悪く、山の餌不足から人里への出没が増える可能性があるとしています。 【写真】相次ぐクマの出没 変わりつつある人間社会とクマの習性
●ブナがほぼ凶作
長野県が先月15日に発表した出没予想によると、ツキノワグマは堅い殻を持つドングリなどの堅果(けんか)類を秋に食いだめしてから冬眠に入ります。ドングリなどが十分実らないと、クマは餌を求めて人里に出没しがち。このため山の木の実のなり具合を調べることでクマの出没予測をします。 長野県内の今年の堅果類の豊凶調査によると、ブナの実は凶作か不作、ミズナラ、コナラは不作から豊作まで地域や木ごとにばらつきが大きい。クリやクルミ類は全県的に一定程度の結実が見られる、としています。 特に長野県北部はブナがほぼ凶作。ミズナラ、コナラも凶作~不作で、木ごとの差も大きいことが分かりました。新潟県から富山県にかけた県境に臨む長野県北部で全体的に結実が悪いため、この地域では「人里へのクマの出没が増える可能性がある」としています。 また、全般に木ごとの結実のばらつきが大きいためクマが餌を求めて行動範囲を広げ、「集落近くの山でクマに遭遇する危険がある」。キノコ狩りや里山周辺の散策などにも注意を呼び掛けています。
●目を離さずゆっくり去る
クマの被害を避けるため、県は(1)森林に入るときは複数で行動し、鈴などで音を出しながらクマとの出合い頭の遭遇を避ける、(2)柿などの不要な果物や野菜、生ごみなどがクマの餌にならないよう処理しておく、(3)万一クマに出合った場合は、クマから目を離さず、ゆっくりその場を離れる。背を向けて走って逃げると、クマは追いかける習性がある――などを指摘しています。 県北部に位置する長野市の今年度のツキノワグマ情報によると、出没件数は4月に7件、5月は17件、6月21件、7月17件、8月27件、9月は12日までに1件と、合わせて90件に上っています。バスの停留所付近、キャンプ場付近など人里にも出没、トウモロコシやリンゴを食べたり堆肥小屋を荒らすなどの行動が見られます。