前田家墓所復旧へ調査 金沢市、12月補正案に計上
●石像物を優先的に着手 金沢市は、能登半島地震で被災した野田山墓地の国史跡「加賀藩主前田家墓所」の本格復旧に向け、石像物の調査に乗り出す。墓所全体では灯籠を中心に計110基の石像物が被害を受け、その多くが手付かずの状態になっている。市は12月補正予算案に3510万円を計上し、専門家を交えた調査で全体の被害状況を把握し、修繕計画をまとめる。 市によると、被害を受けた110基のうち、まつや2代藩主利長などの墳墓にある灯籠6基は地震で倒れたため、5月末に石工職人が滑車で起こし、元に戻した。利家と長女幸(こう)の計2基は損傷があり、市が修復作業を進めている。 墓所では石像物のほか、墓を取り囲む玉垣も被害を受けた。文化財の価値を保全するには、建立当時と同じような材料や工法が求められるため、修繕には相当の時間を要するという。市は文化庁の担当者や専門家との協議を進めながら、まずは石像物を優先的に本格復旧を進める。 同じく国史跡で地震や大雨で一部斜面などが損傷した辰巳用水についても修復を進める。 ●寺社と私道復旧支援 能登半島地震で被災、独自に 市は、能登半島地震で被災した寺社建造物と私道の復旧を独自に支援する。いずれも石川県の復興基金を活用した基本メニューの対象となっているが、対象外の建物や私道も加える形で支援を充実させる。12月補正予算案に計1430万円を計上した。 ●一般会計71億円増額 村山卓市長は25日開かれた市議会運営委員会に12月補正予算案を内示した。一般会計で71億1493万円を増額し、このうち地震関係が約4割を占めた。補正後の累計は、前年度同期比4・8%増の1966億4382万円となった。