兵庫県の斎藤元彦前知事（46）の失職に伴う県知事選（31日告示、11月17日投開票）には、斎藤氏を含めて6人が出馬の意向を示している。斎藤氏に対する不信任を決議した県議会側でも立候補予定者への推薦や支援の動きが進み、戦いの構図は固まりつつある。ただ、最大会派・自民党の方針が定まっておらず、情勢は不透明だ。 【グラフィックでみる】兵庫県知事選の立候補予定者と県議会会派・政党を巡る構図 斎藤氏は7日、県庁で報道各社の取材に応じ、「失敗した人だからこそ新たにチャレンジできる。即戦力としては私が一番適任だと考える」と再選への意気込みを語った。 知事選には斎藤氏のほか、日本維新の会の参院議員、清水貴之氏（50）▽同県尼崎市の前市長、稲村和美氏（51）▽元経済産業省官僚の中村稔氏（62）▽医師の大沢芳清氏（61）▽同県加西市の元市長、中川暢三氏（68）－が立候補する見通しとなっている。 このうち斎藤氏と中川氏、稲村氏は、政党への協力などは求めていないが、稲村氏には立憲民主党の県議らでつくる会派から支援の声が上がっている。大沢氏には共産党が推薦を決めている。 一方、3年前の前回選で斎藤氏を推薦した自民党と日本維新の会は、それぞれ独自候補擁立を模索したが、現状では対応が分かれている。 維新は2日に県議団が、衆院へのくら替えを予定していた清水氏に出馬を要請。清水氏は立候補の意向を示し、今後、公認や推薦など党の対応が決まる見通しだ。 自民は県議団で候補者選定の検討会を設置。これまでに中村氏と面談したが、県議団の一部では稲村氏を推す声などもあり、一時は独自候補見送りの方針を決めた。 その後、党所属の国会議員の反対意見を受け、引き続き候補を探すことになったが迷走感は否めず、知事選で連携する公明党からは「結論を待っているが遅すぎる」（県議）と苦言を呈されている。 自民県議は、前回ともに推薦した維新が独自候補を立てたことで「自民への責任追及の声が強くなるのでは。最後まで候補者を探したい」と危機感をあらわにしている。（喜田あゆみ）