京極夏彦氏が松本幸四郎&中村勘九郎&七之助と異例タッグ!歌舞伎作品初書き下ろし、デビュー30周年節目に
デビュー30周年を迎えた直木賞作家の京極夏彦氏(61)が初めて歌舞伎の作品を書き下ろすことが23日、分かった。8月の歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」(4~25日)第3部(午後6時開演予定)で上演する新作歌舞伎「狐花(きつねばな) 葉不見冥府路行(はもみずにあのよのみちゆき)」で、松本幸四郎(51)、中村勘九郎(42)、中村七之助(41)らが出演する。 古書店を営む京極堂こと中禅寺秋彦が憑(つ)き物落としによって事件の真相に迫る「百鬼夜行」シリーズに連なる物語。中禅寺秋彦の曽祖父・中禪寺洲齋(ちゅうぜんじ・じゅうさい)が生きる江戸時代を舞台に、美しい青年の幽霊騒動と作事奉行らの悪事の真相に中禪寺が迫る物語だ。 歌舞伎に初挑戦するミステリーの鬼才は「文字のみを扱い用い馬齢を重ねて参りましたが、此度(こたび)は黒、柿、萌黄の大舞台。文字ならぬ名優の方々の身体に意を委ねまする怪しの狂言。まるで作法も文法も違いますれば、果たして如何(いか)なる仕上がりとなりますものか」と気を引き締めている。歌舞伎ファンには「何卒(なにとぞ)、心静かにご高覧戴(いただ)きまするよう、伏して御願い上げ奉ります」と呼びかけた。 かつては三島由紀夫、大佛次郎、舟橋聖一ら大物作家が歌舞伎を手掛けていたが、近年では極めて異例。京極作品について「すごく艶(つや)やか、まさに凄艶(すごつや)な世界で大好き」と語る幸四郎は「ついに京極夏彦さんが新作歌舞伎を書き下ろすということで『待ってました!』という気持ちです。夢見続けた傾(かぶ)いた歌舞伎を作り上げたい」と心を躍らせている。 コロナ禍で集客に打撃を受けた歌舞伎界にとって、起死回生の起爆剤として期待される待望の新作。京極氏と幸四郎、勘九郎、七之助の強力タッグは大きな話題を呼びそうだ。公演に先駆けて7月26日に小説版(KADOKAWA刊)の発売を予定している。 ◆「狐花 葉不見冥府路行」 作事奉行の上月監物(こうづき・けんもつ)の一人娘が、ある男を捜していた。彼岸花を深紅に染めた着物をまとい、身も凍るほど美しい顔のその青年は“この世に居るはずのない男”だった―。青年の出現を知った監物は「この騒動は過去の悪事と関わりがあるのでは」と警戒する。謎をはらむ幽霊事件を解き明かすべく“憑き物落とし”を行う武蔵晴明神社の宮守・中禪寺洲齋が監物の屋敷に招かれる。
報知新聞社