日本人の44%はお酒に弱い! 「お酒を飲み続ければ強くなる」が誤解なワケ【医師解説】
「お酒を飲んで間もない頃はすぐに酔っぱらっていたけど、飲んでいるうちに段々強くなった」と感じている人は少なくないのでは? しかし、「お酒は鍛えられる」という説には誤解が含まれているそうです。今回は、お酒を飲み続ければ強くなると感じる仕組みや、お酒に酔いにくくなる対処法を中川医師に解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております] 編集部: 「お酒を飲み続ければ強くなる」という説を聞いたことがあります。繰り返し飲んでいれば、いずれお酒に対する耐性がつくのでしょうか? 中川先生: この説には、誤解が含まれています。実際には、アルコールを定期的に摂取することで、アルコールに対する耐性が一時的に生じる可能性があります。これは体がアルコールの影響に慣れ、同じ量のアルコールでも以前ほど酔いにくくなる現象です。しかし、お酒に強くなったわけではありません。アルコールの代謝能力は遺伝的に決まっているので、鈍感になっただけと言えます。また、体がアルコールに慣れると、同じ効果を得るためにより多くのアルコールが必要となり、その結果、過度の飲酒やアルコール依存症のリスクを高める可能性があります。 編集部: では、お酒の強さは何で決まるのでしょうか? 中川先生: お酒の強さは、アルコールの代謝産物である「アセトアルデヒド」を上手く分解できるかどうかで決まります。そして、分解の機能は遺伝的な体質で決まっています。日本人の約44%が、「ALDH2」不活性型というお酒に弱い、悪酔いしてしまう体質とされています。 編集部: 日常的に飲酒をすることで、体にどのような悪影響を及ぼしますか? 中川先生: お酒を常飲することによって発症する疾患は、「アルコール依存症」「胃食道逆流症」「アルコール性肝障害」「急性膵炎」「慢性膵炎」「不眠症」などがあります。 編集部: お酒に酔いにくくなる対処法があれば教えてください。 中川先生: 「そもそものアルコール摂取量を管理すること」「短時間で大量に飲まないこと」「水分摂取をこまめにおこなうこと」などが挙げられます。また、飲酒前後に水分摂取をおこなって、できるだけ血中アルコール濃度が上がらないように努めましょう。
【この記事の監修医師】
中川 龍太郎 先生(医療法人資生会 医員) 奈良県立医科大学卒業。臨床研修を経て、医療法人やわらぎ会、医療法人資生会南川医院に勤務。生活習慣病や肥満治療、予防医学、ヘルスメンテナンスに注力すると同時に、訪問診療にも従事している。日本プライマリ・ケア連合学会、日本在宅医療連合学会、日本旅行医学会の各会員。オンライン診療研修受講。