「被災地に寄り添いたい」 福島県のDMAT、避難所で容体急変の妊婦を診察
能登半島地震を受け、福島県内から石川県に応援に入っているDMAT(災害派遣医療チーム)の医師が8日、甚大な被害が出ている輪島市の避難所で、容体の急変した妊婦の診察に当たった。対応した福島医大付属病院集中治療部講師の箱崎貴大医師(45)が9日、福島民報社の電話取材に応じ「被災地にできる限り寄り添いたい」と支援に当たっている心境を語った。 箱崎医師は8日正午ごろ、輪島市役所に設けられた保健医療福祉調整本部で活動中に、「避難所にいる妊婦の容体が急変した」との知らせを受けた。 本来は関係機関との連絡調整役を担っているが、対応できるDMATチームが出払っていたため、福島県から持ち込んだ救急車に乗り込んで避難所に急行。妊婦の状態を診察した上でヘリでの搬送につないだ。妊婦の家族から「ありがとう」と感謝の言葉が寄せられたという。 箱崎医師は2018(平成30)年の北海道胆振東部地震や2019(令和元)年10月の台風19号で被災地に入り、災害時の医療に携わってきた。能登半島での医療支援では、水不足による感染症の拡大や、広範な地域に多くの集落が点在している地理的な条件が障壁と感じている。
箱崎医師の行動は、内堀雅雄知事が9日の定例記者会見で輪島市でのDMATの活動例として紹介した。県によると、9日現在、県からDMATをはじめ医師や看護師ら58人が石川県で医療支援に従事している。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故をはじめ、度重なる災害を経験した福島県の医療人が細やかな気配りで被災者に寄り添っている。