齋藤飛鳥、アイとの共通点はプロ意識の高さ 『【推しの子】』実写化はこれ以上ない適任
“アイドル”を俯瞰して演じられる齋藤飛鳥はアイ役にピッタリ
人気アイドルグループのセンターという立ち位置だけ聞くと、齋藤とは共通点も多いように思えるが、本作のアイはそんな齋藤が積み上げてきたものとは正反対の役柄と言っていい。とはいえ、乃木坂46時代の初期には自分が考えるアイドル像をまっとうしようとしていたことをさまざまな番組で明かしており、「いちごミルクがだぁ~い好きっ!」といったいわゆるアイドル的なフレーズも頻発していたこともあった。 だが、もともと齋藤はアイドルを俯瞰して見ている節があり、メディアのインタビューでもドライな目線で自らの立ち位置を語ることが多く、飾らないありのままの姿は新しいアイドルの形を見せていた。そんな彼女を見て、「アイドルらしくない」という意見も散見されたが、それでもアイドルを俯瞰して、求められるアイドル像を常に更新し続ける姿はプロのアイドルそのもの。そこにアイとの共通点を見出すことができる。キャストが発表されたから言うわけではないが、齋藤ほど適任はいなかったのではないかと思える。 正直なところ、近年の齋藤を見ていると、アイのような感情をむき出しにする役がまったく想像できない。だが、それは単に演じていなかったというだけで、きっと齋藤がこれまでの演技で証明してきた再現性の高さが本作でも発揮されることだろう。注目度の高い作品だけに、齋藤がどのようなアイ像を見せてくれるのか。早くも観たくてうずうずしている。
川崎龍也