黒部宇奈月キャニオンルート、来年の一般開放断念 トロッコ全線開通26年以降
●鐘釣(かねつり)橋付近、落石防止の工事追加 黒部峡谷トロッコ電車の全線開通に合わせ、富山県が予定していた新しい観光ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」の一般開放が2026年以降に延期される見通しとなった。黒部峡谷鉄道(黒部市)は13日、能登半島地震で起きた落石の影響により、一部区間で運転を見合わせているトロッコ電車について、25年も全線開通を断念すると明らかにした。 【写真】地震の影響で亀裂が入った鐘釣橋付近の岩盤。中央部分にあった岩塊は取り除かれた 地震で損傷した、トロッコ電車の走行ルートにある「鐘釣(かねつり)橋」付近で落石防止の追加工事が必要になったため。黒部峡谷鉄道は26年中の復旧を目指すが、詳しい時期は見通せないとしている。 同社によると、橋近くの東鐘釣山岩峰にあった岩塊を11月末までに撤去したものの、新たに工事が必要な不安定な岩塊や亀裂などが計6カ所見つかった。 橋周辺は冬期間の工事が難しく、今年は既に休止。来年5月中旬に再開し、東鐘釣山岩峰の対策工事を行う。完了後の26年以降に橋の復旧が着手される。13日に会見した青島郁男総務部長は「安全を最優先に復旧に向けて取り組んでいきたい」と話した。 黒部宇奈月キャニオンルートは、欅平(けやきだいら)駅から黒部ダム(標高1470メートル)までの約18キロを機関車やバスなどで結ぶルート。トロッコ電車は例年、宇奈月―欅平間で雪の解けた4月中旬~11月末に運行するが、今年は地震の影響で宇奈月―猫又間のみ営業した。25年も同区間での運行になる見通しである。 富山県は当初、6月30日に黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放を予定し、旅行商品の造成も検討していたが、地震を受けて延期を余儀なくされた。