救急医療週間で救急車の適正利用呼びかけ 高齢化で出動数増 迷ったときは「#7119」【長野県飯田下伊那】
8~14日は救急医療に対する正しい理解を広げる「救急医療週間」。長野県飯田下伊那地域では高齢化などで救急出動が増加傾向にあり、飯田広域消防本部は救急車の適正利用の啓発や、救急車を呼ぶか迷った際の電話相談「#7119」の周知に取り組んでいる。 2023年の飯伊の年間搬送者数は7932人で、統計を取り始めた1987(昭和62)年以降で最多だった。今年の上半期でも過去最多を更新するなど増加傾向が続いている。同本部によると、人口動態の予測などから30年ごろまで増加する見込みという。 昨年の搬送者のうち、45%に当たる3581人が入院の必要がない軽症者だった。同本部警防課の担当は「出動件数が多くなると、本当に救急車を必要としている重症患者への対応が遅れる可能性がある」と警鐘を鳴らす。 同本部では4つの消防署と6つの分署に予備車4台を含めて計14台の救急車が配備されている。管轄内で出動要請が重なると、最寄りの消防署からの出動ができなくなり、現場への到着時間が延びることがあるという。 傷病者が救急車を呼ぶか、病院に行くかで迷ったときに相談できる窓口がある。昨年10月から運用が始まった県救急安心センターの相談窓口「#7119」だ。看護師などの相談員が症状を聞き取り、救急車を呼ぶべきかアドバイスをしてくれる。 受付時間は平日の午後7時から翌午前7時、土日・祝日は午前8時から翌午前8時まで。外国語やメール相談にも対応している。 #7119は緊急性のない軽症者の搬送を減らすだけでなく、重症にも関わらず救急車利用をためらってしまう傷病者に救急要請を促す効果もある。同課によると、飯伊では近隣の迷惑を気にする人や我慢強い人が多く、救急要請をせずに症状が悪化してしまう事例も多いという。 同課担当は「救急車を呼ぶか、我慢するかの2択でなく、まず気軽に#7119に電話してほしい。ただ緊急性がある場合は迷わずに119番通報を」と呼び掛けている。 同本部では救急車の適正利用推進や#7119の周知に向け、チラシ広報や商業施設へのポスター掲示といった啓発活動に取り組んでいる。 6月からは救急車にステッカーを貼って救急車の適正利用を呼び掛ける取り組みを始めた。デザインは職員の公募で選び、各消防署の救急車に貼付している。