【シンガポール】企業の採用意欲、2四半期ぶりに下落
米総合人材サービス大手マンパワーグループが発表した2025年1~3月期の雇用見通しで、シンガポールで事業展開する企業の採用意欲を示す純雇用予測指数(季節調整済み)は前四半期から4ポイント低下し、2四半期ぶりに前四半期を下回った。前年同期比でも4ポイント低下した。金融・不動産などで雇用数を増やすと答えた企業が減ったことが背景にある。 マンパワーは525社を対象に、雇用見通しに関する調査を実施した。雇用数を「増やす」と回答した企業の割合は45%、「減らす」は20%で、両者の差し引きである純雇用予測指数はプラス25となった。 指数は全9業種のうちエネルギー・公益を除く8業種でプラスとなった。採用意欲が最も高かったのは運輸・物流・自動車でプラス67。前四半期から22ポイント上昇した。これに医療・ライフサイエンス(プラス40)、金融・不動産(プラス36)が続いた。金融・不動産は前四半期のプラス64を大きく下回った。消費財・サービスは前四半期から横ばいのプラス33だった。 一方、エネルギー・公益はマイナス29。前四半期のマイナス30から1ポイント改善したものの、2四半期連続のマイナスとなった。 マンパワーグループ・シンガポールのカントリーマネジャー、リンダ・テオ氏は、「企業の採用意欲は前四半期からやや鈍化しているものの、不透明な情勢下でも安定を維持している。ただ、今回の調査は米トランプ次期政権の誕生が決まる前の10月に実施したため、雇用主は慎重ながらも見通しを楽観視していた」と強調した。 今後については「地政学的緊張や不確実性が高まる中、安全で信頼できるアジアのハブとしてのシンガポールの役割は重要となってきている。貿易ルートの変更やシンガポール経由の貨物輸送の正常化により、運輸・物流・自動車分野の雇用創出が促進される」との見通しを示した。