「装甲騎兵ボトムズ 総合模型演習 2024」、思わず語り合いたくなる、作り手の情念が詰まったジオラマがずらり
バンダイナムコフィルムワークスとイベント会社のエニーは北千住マルイ 6F カレンダリウムにて、アニメ「装甲騎兵ボトムズ」をテーマとした「装甲騎兵ボトムズ 総合模型演習 2024」を11月1日から17日まで開催する。 【画像】イベントに出展されたジオラマは、まさにむせかえるほどに「ボトムズ」への想いが込められている 本イベントでは高い技量を持ったプロモデラー達による思い入れたっぷりのジオラマに加え、アマチュアモデラーも多数参加、様々なジオラマや作品が会場に並べられている。、さらにホビーメーカー各社の「ボトムズ」関連商品も多数出展。作品世界を活かしたグッズも販売される非常にユニークなイベントだ。 今回、イベントに先駆け開催された内覧会を取材した。本稿ではジオラマを中心に紹介したい。 ■ 名場面や見せ方の工夫、「ボトムズ」への思い入れたっぷりなジオラマの数々 アニメ「装甲騎兵ボトムズ」は、銀河を二分する大戦争の後の"戦後"の世界が舞台となる。主人公キリコ・キュービィーは終戦間近に"味方の基地を強襲する"という謎の作戦に参加、ただ一人置き去りにされ、その後戦場に駆けつけた自軍であるギルガメス軍に捕まり、激しい尋問を受ける。 警備の隙をついて脱出したキリコはその日に戦争が終わったことを知る。それから半年後、キリコは謎の作戦の手がかりを得る。キリコは謎を追いながら様々な場所を巡り、やがて自身の運命に直面する……。 「装甲騎兵ボトムズ」は1983年のアニメだが、大きな人気を得、OVA作品なども作られた。特にプラモデルや立体物の人気が高く、現在でも新商品が発売されている。「ボトムズ」の面白いところは、「機動戦士ガンダム」のように、その後の様々な時代や、違う世界を扱った作品には広がらず、キリコを中心とした物語が核となり、他の主人公を扱った作品は少なかったこと。プラモデルに関しても、ある意味"ファーストガンダムのMSの人気”に近いかもしれないが、「装甲騎兵ボトムズ」に登場したAT(アーマードトルーパー)がその時代の技術で立体化されるのだ。 このため、「装甲騎兵ボトムズ 総合模型演習 2024」も作品世界をテーマにした、非常に濃いジオラマが多かった。今回はいくつかをピックアップしていこう。戦後の街"ウド"をテーマにしたジオラマはあえてボックス形式のディスプレイにし、まるで盛り場をのぞき込んでいるような雰囲気になっている。 もう1つ、アニメ「装甲騎兵ボトムズ」の最終章クエント編の舞台の1つである「ゴモル市」を扱ったジオラマでは奇妙な形をしたゴモル市の全景を再現しているのだが、細かくチェックすると街を占拠しようとするスコープドックや、砂漠に住む砂モグラ、傭兵センターの建物などもあるという。細かくチェックするほど楽しいジオラマなのだ。 筆者がお気に入りなのはパラシュートザックを展開したジオラマ。スコープドックに対してパラシュートが非常に大きく、大迫力だ。本イベントのテーマの1つとして「ここでしか見れないジオラマを」というものがあり、このパラシュートを広げたジオラマはまさにこのテーマを体現するものだろう。 もう1つ思わずグッときたのが「ミッションディスク」を立体化したもの。1つが熱で変形しているのだ。これは解説したい。「ボトムズ」のATはミッションディスクに書き込まれた基本プログラムで動く。これをカスタマイズすることで戦いを有利にも進められるのだが、キリコがライバル・イプシロンと対決したとき、キリコのミッションディスクが彼の反応速度にシステムがついてこれず、焼き付いてしまうのだ。ATの作例が多い中、ニヤリとさせられる作品である。 もう1つ、ツヴァークが大量に並んだジオラマ。ツヴァークはウェーブが発売を予定しているプラモデルで、メーカーの協力を得たからこそのジオラマなのだが、先頭にラビドリードッグ、後方にアロンとグランの乗り物が提示されている。これは、ラビドリードッグがツヴァークを率いる第51話「修羅」だけでなく、アロン達と進軍する第44話「禁断」のシーンを再現したものにもなるというアイディアが詰まっているのだ。 他にも様々な魅力的なジオラマがある。1つ1つ語りたいのだが、ぜひ会場を訪れて生でそのジオラマをチェックして欲しい。プロモデラー作品だけでなく、有志の作品、さらに「秋葉原工作室」による、「ボトムズ」の知識が少ない人も参加した自由度の高い作例や、イエローサブマリンのユーザーの参加作品など、「多くの人に参加して欲しい」という想いを受けた出展作もある。 「これはここの場面を再現したものだね」、「これ、商品化されてないんだけど、フルスクラッチなんだよ」など、思わず語ってみたい作品があふれている。ぜひ会場を訪れて欲しい。 (C)サンライズ
HOBBY Watch,勝田哲也