台風21号で死者6人不明1人

災害発生から1週間後の様子を撮影した写真を展示した宮田さん＝大台町薗の奥伊勢フォレストピアで

　2004（平成16）年9月29日に三重県多気郡大台町宮川地域を襲い、死者6人と行方不明者1人の被害をもたらした台風21号から20年に合わせて、当時の土砂災害被害の惨状を撮った写真15点を紹介する写真展「台風21号土砂災害写真展～20年前の災害を忘れないために…」が現在、薗の奥伊勢フォレストピアで開かれている。30日までで観覧無料。 　写真を展示しているのは、元理容師の宮田多美男さん（90）＝新田。「（当時の様子を撮った）写真がたくさんある。生きているうちに一つでも多く展示して、多くの人に災害があったことを忘れないようにと伝えたい」と静かに語った。 　県の資料によると、20年前の9月29日午前9時半から11時にかけて、宮川地域で相次いで土石流、地滑り、斜面崩壊が発生、人家が巻き込まれて滝谷地区と小滝地区で死者6人、行方不明者1人。家屋被害も久豆、桧原、天ケ瀬など広範囲に及び、全壊20棟、半壊17棟の被害を出した。県観測所のある明豆では、同29日午前9時からの1時間で131ミリの猛烈な雨を観測。降り始めからの積算雨量は921ミリに及び、年間降水量の4分の1が1日で降ったという。 　宮田さんは「記録に残さなくては」という思いで、フィルムカメラを手に災害から約1週間後に現地に赴いた。5人の死者と1人の行方不明者が出た滝谷地区は道路が寸断されて行けなかったものの、久豆までたどり着いた。そこで目にしたのは家の1階部分まで土砂で埋もれた民家や長さ約140メートルにわたって山の斜面が削られ、大量の土砂が人家を巻き込んだまま宮川まで到達している様子だった。茶畑も砂の中に埋もれ、高さ5メートルほどの防霜（ぼうそう）ファンの上部にごみが引っ掛かり、水がそこまで達した痕跡が残されていた。 　同町で生まれ育った宮田さんは「あんな災害は初めてだった。大量の倒木もあちこちにあって、巻き込まれた家の残骸も川まで流れていた土砂の中に見えた。（大雨の後は天気がいい日が続いていたので）乾いた砂だらけで、本当にびっくりした」と振り返り、「多くの人に災害のことを知って忘れないでほしい」と訴えた。