日産とホンダ、EV分野などで協業の検討開始-競争激化でタッグ
(ブルームバーグ): 日産自動車とホンダは15日、 自動車の電動化や知能化に向けた協業の検討を開始する覚書を締結したと発表した。電気自動車(EV)の分野で世界的な競争が激化する中、協業を通じて競争力の向上を目指す。
両社は連名の発表資料で脱炭素化などへの取り組みを加速するには環境関連や電動化技術、さらにソフトウェア開発などの領域に関する強化が不可欠になるとした上で、「両社の強みを持ち合い、将来的な協業を見据えた検討が必要」と考え、合意に至ったとしている。
具体的には、自動車車載ソフトウェアプラットフォーム、EVに関する基幹コンポーネント、商品の相互補完など幅広い範囲で検討を進めていくという。
環境意識の高まりから、自動車業界では今後、EVやハイブリッド車など電動車の急速な普及が見込まれている。急成長してきたEVに減速感が出ている一方で比亜迪(BYD)など中国系メーカーとの競争は激化。さまざまな技術分野への投資も膨らみ、中規模以下のメーカーにとっては単独での生き残りが難しくなっている。
そうした中、日産は昨年、長年アライアンス(企業連合)を組んでいた仏ルノーと資本関係の見直しで合意。その後、両社の協業の柱の一つだった共同購買が解消された。ホンダも昨年10月に米ゼネラル・モーターズと共同開発する量販価格帯EVについて、投入計画の中止を明らかにするなど従来のパートナーとの関係に変化が生じていた。
両社の経営トップは同日午後に共同記者会見を開き、ホンダの三部敏宏社長は「新興企業の攻勢は極めて速く、強力だ。この変化に対応できない企業は淘汰されるというぐらい厳しい状況だと認識している」と危機感を示した。業界のトップグループと「少なくとも伍して戦えるポジションに会社を置くためにはいろんな両社のシナジーによる新しい価値を創造することに加え、スケールメリットというのは重要な観点だ」と話した。
三部社長は、日産の知能化やイーアクスルなどとは技術的な親和性が高いとの認識を示したほか、特に電動化、知能化の領域は台数増によるコスト低減効果が非常に大きいと述べた。協業の詳細については複数のワーキング・グループを作って検討を進め、短期間のうちに「できるところからやっていければと考えている」とした。