１回、７号ソロを放つ佐藤輝（撮影・金田祐二）

　「ＤｅＮＡ１０－４阪神」（３日、横浜スタジアム） 　待ちに待った“アベック弾”が今季９８試合目にして飛び出した。初回、３番・森下の先制２ランに、阪神の４番・佐藤輝が続いた。吉野の速球を振り抜き、右翼席中段へ突き刺す７号ソロ。強い西日が照りつける中、ハマの虎党を再び沸かせた。 【写真】守備で必死の顔を見せる佐藤輝 　「高めのストレートをしっかり捉えることができました。甘い球がきたので、いい結果になって良かったです」。“アイブラック兄弟”による競演は昨年９月３日・ヤクルト戦、同８日・広島戦以来、３度目となった。 　この一発で自己最長を更新する１２試合連続安打をマーク。三回２死三塁では右飛に倒れたが、同点の五回に勝負強さを発揮する。１死三塁から２番手・ウィックの変化球をミートし、一時勝ち越しの中前適時打。塁上では両手をヒラヒラさせる「カモメダンス」を披露。６試合連続マルチ安打も決め、打率を・２７０まで上昇させた。 　「初回以降、点が入っていませんでしたし、チャンスの場面だったので、どんな形でもランナーをかえしたいと思っていた。いい場面で一本出すことができて最高です」 　この一打に進化が凝縮されていた。打席ではボール球に手を出さず、グッと我慢。「内野が前に来ていた」と視野も広く持っていた。持ち味のフルスイングだけでなく、軽打もできる。試合展開、状況に応じた打撃で、チームに貢献している。 　１８７センチ、９６キロの男は夏バテ知らずだ。昨年は８月に月間打率・３００、３本塁打、１６打点を残して、Ｖロードをけん引した。この夏も４番への期待は高まるばかりだ。 　三回は牧が放った難しいバウンドの打球をファンブル。今季１４失策目となったが「しっかり練習というところです」ときっぱり。「（連勝ストップも）特に気にすることなくまた明日の試合に集中したいと思います」。試合後、バスまでの通路を足早に歩きながらも、視線は前を向いていた。気持ちを切り替え、豪快な一打で勝利を運ぶ。 　◆佐藤輝の連続試合マルチ安打　４日のＤｅＮＡ戦で６試合連続マルチを達成。これまでは２３年９月１３日・巨人（２２）戦～１６日・広島（２３）戦の４試合が最長で、３日のＤｅＮＡ戦で自己最長を更新していた。またこの日のヒットで１２試合連続安打となり、自己ベストを更新した。