【川島郭志】必ずパンチを上下に打ち分け ドヘニーの腰を痛めた井上尚弥の教科書通りのボクシング
<プロボクシング:4団体統一スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦>◇3日◇東京・有明アリーナ 4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)が防衛(WBAスーパー、IBF2度目、WBC、WBO3度目)に成功した。 ◇ ◇ ◇ 井上尚弥は1回から教科書通りのボクシングを貫いた。これまでの少し攻撃を仕掛ける出方を変えて、確実なブロックと着実な攻撃を徹底した。相手は左のパンチが強くパワーもある。いろいろと慎重に確認しながら、少ずつペースアップする戦略だった。前回の防衛戦で初回にダウンした反省もあったのだろう。 ドヘニーは井上の強打を警戒して深く構えて左強打をたたき込む作戦だったが、打っても当たらず、逆に強烈なカウンターが返ってくるので、自然とロープに詰まった。最後は腰を痛めたようだが、井上の強い圧力を受け続けて筋を痛めたのか、ボディーブローのダメージなのかは分からないが、パンチを必ず上下に打ち分ける井上のボクシングが、この結果に導いたように思う。 来年は米国で大きな試合の話があるようだが、井上ならフェザー級でも十分に勝負できる。体が大きく、手足も長いパワーを秘めたフェザー級の選手は確かに危険な相手だが、左ジャブを強いストレートでビシビシと決める今の井上のボクシングを見ていると、体の大きさは関係ないようにも思えている。(元WBC世界スーパーフライ級王者)