国家安全保障局トップ交代の背景にある「外務vs.警察」のポスト争い
条件とは
「北村氏は完全なワーカホリックで、とにかく仕事の鬼だったそうです。周囲の評価には耳を貸さず、仕事で結果を出すというスタンスだったのでしょう。部下に求めるレベルも高く、北村氏が関与する組織は良い意味で鍛えられたのではないでしょうか(笑)」(同) 北村氏が“悪目立ち”したことに限らないが、安倍・菅・岸田政権下で警察キャリアが特に出世・栄達を重ねたことに対して霞が関官僚らの反発があったことは事実のようだ。そのことは今回の国家安全保障局長人事とも無縁ではない。 「秋葉氏の退任理由は本人からの“辞めたい”との申し出があったからです。レク(説明)の場ではしんどそうな表情を浮かべていたこともありました。何しろタフな職場ですから、本人も体力的な限界を悟っていたのでしょう。秋葉氏は退任にあたって条件をつけていて、“警察側にトップを明け渡さない、外務省出身者を継続して起用してもらえたらありがたい”というものでした」(同)
霞が関内の暗闘
政権発足から3カ月ほどでの「人事異動」ゆえ、首相との路線の違いなどを勘繰る向きも永田町にはいるというが、それは考えすぎと見て良さそうだ。石破官邸は秋葉氏の意向を受け入れ、秋葉氏の後任には現・外務次官が就任予定である。 「秋葉氏の言い分を解釈すると、国家安全保障局のエッセンスは外務省出身者が最も理解しているということなのでしょう。対米外交については主として山田重夫駐米大使が継続して担っています。バイデン氏からトランプ氏に大統領が代わるからとか、石破首相がこれまでの政権とは違う独自色を打ち出したいからとか、そういう理由での局長交代ということではないようです」(同) 国家安全保障局が発足した時からどの省庁が主導権を握るのか、その争いが激化するのではと見られてきた。省庁の外にポストを確保することは省益に適(かな)うとの目論見からだ。その傾向は発足から10年余が経過した今もなお継続しているということなのかもしれない。ともあれこのまま無事進めば外務省にとっては「3勝1敗」という結果になる。 デイリー新潮編集部
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