「繰り上げ受給」した年金を「新NISA」で運用すれば儲かる?「年金繰り上げ投資」で一番大事なこと
新NISAで年金を運用するのはお得か
通常、投資運用で得た利益に対しては20.315%の税金が課税されます。ただ、2024年からスタートした「新NISA」制度を利用すれば、最大で年間360万円、合計1,800万円まで非課税で投資できます。また新NISAで運用中の株式等を売却すれば、その枠を何度でも再利用できます。 この非課税になる枠はかなり大きく、新NISAを利用すれば、受給した年金を全額投資に回して非課税で運用することが可能になります。 そこで受給した年金運用の利回り次第では、65歳から受給、または70歳繰り下げ受給よりお得になるという考え方が、最近盛り上がっています。一方で、実際には難しく慎重に考えるべきであるという意見もあります。 65歳から年金受給した場合より得をするには、利回りが少なくとも3%から5%くらい必要だが、その利回りをずっと出し続けることは難しいという意見です。また、年金は老後の生活を支える資産であり、余裕資産ではないので、投資に回すべきではないという考え方もあります。 後者の意見は確かにその通りで、投資運用では元本を割り込むこともありますので、資産に余裕がない人が行うべきではありません。あくまでも、60歳時点である程度の余裕資産があり、仮に投資に失敗しても生活に影響がない人だけにしたほうが良いでしょう。 そして、前者の意見は、3%から5%の利回りを出し続けるのは難しいとのことですが、ここで、利回りの損益分岐点はどれくらいなのかが一番の重要ポイントです。これが低ければ大丈夫ですし、高ければ難しいことになります。 * * * 話題の「年金繰り上げ投資」、はたしてそこまでうまくいくのか?後編記事〈新NISAで運用する「年金繰り上げ投資」は本当に儲かるのか?「お金のプロ」も驚いた「意外な検証結果」〉では「お金のプロ」であるファイナンシャル・プランナーの服部さが、損益分岐点となるその利回りについて、2つのケースを考え検証します。
服部 貞昭(CFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)/エファタ株式会社 取締役)