世論の批判に危機感、旧安倍派ら猛反発「完全な切り捨て」「裏切り」…「不記載」議員の比例選重複認めず
石破首相(自民党総裁)が6日、政治資金収支報告書に不記載があった旧安倍派や旧二階派議員らについて、衆院選で比例選への重複立候補を認めない考えを打ち出したのは、「原則公認」方針に世論や党内の批判が激しく、選挙戦にも影響が及ぶと危機感を持ったためだ。 【ひと目でわかる表】「不記載」議員の処分と公認の状況
首相は6日、森山幹事長や小泉選挙対策委員長らと党本部で公認問題について協議した後、記者団に対応方針をこう説明し、自らも身を切る姿勢を示した。
首相ら党執行部は1日の新政権発足後、不記載があった議員らを「原則公認」とする方向で調整に入り、重複立候補の扱いを含め、詳細を検討していた。
ただ、原則公認案に対し、党内からは「有権者の受け止めは散々で、このままでは衆院選を戦えない」との不満が噴出した。党関係者によると、最近極秘で行った衆院選の情勢調査の結果も芳しくなかったという。
首相は「時に非情な決断も必要だ」と周囲に漏らし、処分の有無にかかわらず、不記載があった議員はまとめて重複立候補はなしとする案を決めた。
処分期間が終わった高木毅・元国会対策委員長や、処分が「選挙での非公認」よりも軽かった萩生田光一・元政調会長らを非公認とすることを巡っては、党幹部は「派閥中枢だった責任は重く、厳しく対処せざるを得なかった」と指摘した。
執行部は不記載があった議員最大37人に加え、首相ら執行部5人の重複を認めないことで、比例名簿登載者が不足する可能性があるとみて、補充を進めている。
「裏切られた」
自民内には、「地元の風当たりは相当厳しいが、これで局面が変わる」と期待する声が出た。中堅議員は「萩生田氏らが非公認となったのは象徴的で有権者に分かりやすい」と評価した。
ただ、旧安倍派議員らは「完全な切り捨てで、選挙で勝っても石破政権を支えることはもうできない」などと猛反発している。非公認となる閣僚経験者は「総裁選前に『非公認は絶対にない』と首相から内々に言われ、応援したのに裏切られた」と憤った。