不動産会社から「金利が本格的に上がる前に」と、住宅購入を勧められています。4000万円の住宅ローンだと支払いが「月13万円」程度で、今の家賃と同じ予定ですが、購入後の生活は大丈夫でしょうか?
ゼロ金利政策が解除され「金利のある世界」が戻ってくると話題です。住宅ローンの金利も上昇傾向であり、早めに住宅購入を決めようと考えている人も多いのではないでしょうか。実際に住宅ローンを組む前には月々の返済額だけでなく、その他にかかる出費についてもトータルで綿密なシミュレーションを行っておく必要があります。 本記事では住宅購入後、ローン返済以外に定期的にかかる費用について解説します。 ▼がんの発覚で「住宅ローン」がチャラに!? その驚きの理由を解説
2024年4月、「フラット35」で4000万円のローンを組むと?
2024年4月時点で、ARUHIの全期間固定金利住宅ローン「フラット35」における、借入期間35年のローンを組む場合の金利は、年1.82%となっています。この条件で4000万円のローンを組み、ボーナス時の加算なしとすると、月々の返済額は12万8840円となります。 すでに毎月13万円程度の家賃を支払っている世帯からすれば、おおよそ無理のない返済計画に見えますが、ローン返済以外にも不動産を所有することでかかる各種の経費があります。その経費もあわせてシミュレーションすることが重要です。
住宅購入シミュレーションで「忘れてはいけない費目」5選
実際に不動産を所有すると、月々のローン返済額に加えて以下のような費用が発生します。住宅購入を決定する前には、これらの費目を必ず見込んだうえで計画を立てましょう。 ■【管理費】 購入する不動産がマンションである場合は、毎月の管理費を必ず調べておきましょう。コンシェルジュが常駐するようなサービスが整っている場合は、管理費が高額になりがちです。 ■【修繕費・修繕積立金】 購入する不動産がマンションである場合、管理費と修繕積立金は毎月徴収されます。購入する不動産が一戸建てである場合は「修繕積立金」は発生しませんが、住宅に不具合が出れば修繕の必要があるのは戸建ても同じです。同額のマンションにおける修繕積立金に相当する金額を、別に積み立てておくことをおすすめします。 特に、一戸建ての場合は築10年・20年といった節目に壁の塗り替えなど、大きな支出が発生すると予想されます。そのときになって家計に負担がかからないよう、しっかり準備したいものです。 ■【固定資産税】 保有する土地・家屋には、評価額の1.4%に相当する金額の固定資産税が毎年かかります。 新築住宅の場合、居住床面積120平方メートル相当分については3年度分(3階建以上の耐火・準耐火建築物は5年度分)に限り固定資産税が半額となりますが、築3年以上の中古住宅を購入する場合は全額負担となります。 中古住宅を購入する場合は、必ず前年度の固定資産税額を調べておきましょう。 ■【火災・地震保険料】 東京都における一戸建て木造・H構造の一戸建ての場合、ソニー損保のシミュレーションによれば年間6万円程度の保険料がかかります。ほかの費目に比べれば少ない金額ですが、シミュレーションには必ず保険料を含めましょう。 ■【その他、住居が変わることで増える費用】 アパート住まいから一戸建てに移った場合などは光熱水道費が上昇する可能性が高いほか、住所が変更になることで毎月かかる交通費や町内会費なども変動します。 住宅購入のシミュレーションをするときは、実際に自分の住所・住居が変わった後、どのような生活を送り、どのような費用がかかりそうかをできる限り具体的に想像し、かかる費用を一つひとつ計算に入れていくことが大事です。 4000万円の不動産を購入する場合、購入後にかかる費用は毎月のローン返済額である約13万円に加え、前述のような費用をシミュレーションに入れていく必要があります。 ・管理費・修繕積立金が月にそれぞれ1万円 ・固定資産税は土地・家屋の評価額を2000万円として、年間28万円 ・火災・地震保険料を年間6万円 ・交通費が月5000円増 以上のようにシミュレーションをすると、毎月約5万5000円の負担増となる計算です。それにローン返済額を加えると、毎月約18万5000円が「住宅関連費」として必要になりますので、現在の家計にそれだけの余裕があるかを慎重に見極めましょう。
まとめ
住宅購入のシミュレーションをする際、毎月のローン返済額の他に計算に入れていくべき費目について解説しました。固定資産税や火災保険料などが追加されると、月々の家計負担は見た目の住宅ローン返済額よりもかなり高額になります。 住宅購入前にはファイナンシャル・プランナーの協力を得るなどして、できるかぎり綿密なシミュレーションを行っておくことをおすすめします。 出典 東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋) 執筆者:山田圭佑 FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
ファイナンシャルフィールド編集部