リンゴ農家の木村さん（左）に、盗難対策が書かれたチラシを配る鎌田署長＝25日、青森市浪岡樽沢

　青森県内で農作物の盗難が後を絶たない。県警が2023年に認知した農作物の盗難は17件と過去5年で最多、被害額は約63万円だった。今年は25日につがる市で今季初のリンゴ盗難を認知。同日現在で認知件数5件、被害額約69万円となり、既に昨年1年間の被害額を上回っている。いずれの年も主な被害はリンゴで、今年は県産リンゴの高値傾向が続いていることから、主力「ふじ」の収穫最盛期を目前に控え、県警が警戒を強めている。 　県警捜査1課によると、県内の農作物盗難の認知件数は19年が5件（被害額約15万円）、20年15件（同約50万円）、21年15件（同約81万円）、22年15件（同約151万円）。いずれの年もリンゴの被害が約半数を占め、リンゴの苗木が盗まれる事案も複数確認されている。 　一方、農作物盗犯の摘発件数は、過去5年は毎年0～3件で推移。犯人は「食べたかった」などと供述し、全て自己消費目的だった。市街地と異なり、園地では目撃情報や防犯カメラ映像がないケースが多く、摘発が難しい現状がある。 　リンゴの生産が盛んな青森市浪岡地区では、今年もリンゴの収穫期に合わせ、9月下旬ごろから青森南署員がパトロールを強化している。25日は、同署の鎌田一仁署長が同市浪岡樽沢のリンゴ園を訪れ、農家の木村富裕さん（36）に盗難対策などが書かれたチラシを配布。鎌田署長は「日中に下見をして夜に園地に入ることも考えられ、昼夜問わず警戒に当たる。不審な人や車を見かけたら、迷わず110番通報してほしい」と呼びかけた。 　木村さんによると、同地区の農家の中には、過去に野積みしていたリンゴが夜間に盗まれる被害があったといい、園地に防犯カメラを付けるなどして対策している。木村さんは「1年かけて育てたリンゴが盗まれるのは腹立たしい。パトロールをしてもらいながら、農家側も野積みしないなど気を付けていきたい」と語った。