豊洲市場がオープン、さっそく初競り 交通渋滞など課題も
[映像]10月11日に開場した豊洲市場
東京都の新たな中央卸売市場となる「豊洲市場」(江東区)が11日、開場した。6日に営業終了した築地市場(中央区)から4日間の引っ越し期間を経て移転。この日はさっそく夜明け前から水産卸売場や青果卸売場で初競りが行われ、早朝から活気にあふれた。ただ予想以上の交通渋滞や慣れない施設での戸惑いも見られた。 【写真】「築地から豊洲へ」移転決定から17年 新市場が11日開場
場内地図を持って右往左往する姿も
マグロ卸売場では午前5時半から豊洲市場で初めての競りが始まった。競り人が威勢のよい声を上げ、5日前に築地市場で見た最後の競りと同じような活気があった。青果卸売場でも、トマトやダイコンなど野菜の初競りが行われた。生マグロの競りでは、青森県三厩(みんまや)産(214.0キロ)が428万円で最高値だった。 築地市場の老朽化などを受け、2001(平成13)年に豊洲への市場移転方針が決まり、豊洲市場は当初、2016年11月7日に開場するスケジュールだった。その年の夏に誕生した小池百合子知事は「安全性への懸念」などを理由に移転を延期。新市場は2年遅れでの開場となった。 ついにオープンした豊洲市場。適温管理ができるという密閉型の施設になった場内では、市場業者が場内の地図を持って「こっちじゃない、向こうだ」と引き返す光景も見られた。「皆そわそわして慣れないようだが、時間が経てば慣れるでしょう」とは青果仲卸会社「廣井」を経営する廣井一郎さん(85)。水産仲卸会社「山治」を経営する山崎康弘さん(49)は「1週間で築地時代と同じ動きをしないと、(取引先から)見捨てられる」と気を引き締めていた。 中央区で青果店を経営する女性(64)は「青果棟の建物が横に長いので移動が大変」とまだ慣れない施設に戸惑いも。八王子市で青果店を営む男性(73)は「アクセスが悪い。新橋から豊洲までゆりかもめで29分かかった」とこぼしたが、昔からの付き合いがあるので他市場への切り替えはせず豊洲市場へ通うつもりだという。
開場初日のこの日は早朝から、豊洲市場に出入りする車両で周辺道路が混雑した。豊洲市場協会の伊藤裕康会長は「順調に開場でき、ホッとしている」と語ったが、交通渋滞については「われわれが考えていた以上に混雑した」と語った。 開場初日の様子を視察した小池知事は「開設者として、改善すべき点についてしっかり(市場関係者と)コミュニケーションを取っていきたい」と今後も豊洲市場の課題改善に努めるとした。 (取材・文:具志堅浩二)