トヨタ「ランドクルーザー プラド」にポスト新長期規制対応のディーゼル車がガソリン車より約60万円高い396.5万円で復活【今日は何の日?6月17日】
●ポスト新長期対応で先行したエクストレイルとパジェロ
プラドが撤退したディーゼル車だったが、日産自動車「エクストレイル」は2008年、三菱自動車「パジェロ」は2010年に、ポスト新長期対応のクリーンディーゼル搭載モデルを投入していた。 ポスト新長期規制に対応するためには、NOxを低減するNOx触媒とPMを低減するDPF(ディーゼルパテキュレートフィルタ)の装着が不可欠。日産も三菱も多少の違いはあるが、燃焼室やコモンレール噴射システムなど燃焼系の改良に加え、DPFとリーンNOx触媒を装着して、ポスト新長期規制をクリアしたのだ。 その後、マツダがSKYACTIV-Dでポスト新長期規制をクリアし、積極的にディーゼル乗用車を投入。当然ながらプラドにもクリーンディーゼル車を期待する声が高まったが、トヨタは8年間プラドにディーゼル車を追加することをしなかった。
●プラドは尿素SCRシステムでポスト新長期規制をクリア
2015年に4代目プラドに搭載されたクリーンディーゼルエンジンは、新開発の2.8Lコモンレール噴射のディーゼルターボで、最高出力177ps/最大トルク46kgm、JC08モード燃費11.8km/Lと、高性能と低燃費を両立させた。 エンジン本体は、圧縮比の低減やコモンレール噴射システム、燃焼室形状の最適化などで改良。注目の排ガスシステムについては、日産と三菱が採用したリーンNOx触媒でなく、尿素SCRシステムを採用しNOxを低減してポスト新長期規制の適合に成功したのだ。 ディーゼルターボは、ガソリンエンジンよりも低中速トルクが高いため、スピード走行よりも力強いトルクを必要とするオフロード走行に向いている。プラドのようなオフロードSUVにとっては、ディーゼルエンジンが適しているのだ。 ・・・・・・・・ 2010年頃から数年間、各メーカーからポスト新長期規制をクリアしたクリーンディーゼル車が燃費の良さをアピールして続々と登場した。しかし、ディーゼルは排ガス低減のための開発リソースとコストがかかり、一方で電動化技術の低コスト化が進んだことで、この10年ディーゼル車の普及は停滞している。ディーゼルが得意とするプラドのようなオフローダーでも、レスポンスよく高トルクが発生できるBEVで代替できる可能性があるのだ。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純