「九州だけでなく日本を再生できるか正念場の年」九経連会長…シリコンアイランド復活の流れ生む「交流」
2025年がスタートした。今春には福岡市中心部で大規模な再開発ビルが開業し、空港で2本目の滑走路の供用も始まる。沖縄では新たなテーマパークがオープンするなど、大型投資が次々と花開く一年となる。半導体業界も活況が続く見通しだ。一方で、物価高や人手不足は今後も、地場経済に影響を及ぼす可能性がある。九州経済連合会の倉富純男会長に、地場経済の展望と取り組みを聞いた。 【写真】4月に開業する「ワン・フクオカ・ビルディング」(7日、福岡市・天神で)
九州を元気にするためのベクトルをより強く
台湾積体電路製造(TSMC)の熊本第1工場が本格稼働し、今年は第2工場の建設も始まる。ほかの半導体関連企業による設備投資もあり、産業が大きく動き出した。
これから課題も見えてくるだろう。熊本県がしっかりサポートしているが、九州を元気にするためのベクトルをより強くしなければならない。九州を挙げた体制にするために九経連も動いていく。九州だけでなく、日本(の経済)を再生できるか、正念場の年になる。
今年は福岡市で、「天神ビッグバン」による大型再開発ビルの開業が相次ぐ。イノベーション(技術革新)の拠点として新たなビジネスを生む天神地区と半導体産業の交流を促すことで、シリコンアイランドの復活に向けた大きな流れを生み出したい。
九経連では昨年、半導体産業を振興するための専門部会を設けた。大学の専門家にも入ってもらい、県の枠を超えて地域全体でレベルの高い戦略立案と情報共有ができる体制を整えた。先端半導体を使うような企業を興す環境をつくることが、TSMC第3工場の誘致にもつながる。
「九州MaaS」利用状況は予想以上、新たな需要生むサービス開発も
半導体以外では、九経連が主導して昨年夏に始めた交通の新サービス「九州MaaS(マース)」が2年目を迎える。利用状況は予想以上で、今後も商業施設などとの連携で地域ににぎわいを生むような仕掛けをつくっていきたい。
移動データの収集でも新たな知見が得られ、訪日客がどのようなルートで移動するかも分かってきた。疲弊する地方公共交通の課題解決も九州MaaSの目的であり、データを分析することでより使いやすくするとともに、新たな需要を生むようなサービスの開発にもつなげていきたい。