しばもり隊「子どもたちのため」 名田島小の芝生グラウンド10年間整備 次世代への継承が課題【山口】
山口市名田島のしばもり隊(浅原利夫隊長)は、10年間にわたって地域のシンボルである名田島小の芝生グラウンドを整備している。少子化は進んでいるが、地元の子どもたちの笑顔のため汗を流し続けている。 10年以上前、全国的に小学校校庭の芝生化の流れがある中、市でも同校と嘉川小で実施を検討。児童の安全性確保や体力向上が見込まれる芝生化へ賛成の声は多かったが、芝生の管理をどうするかで話し合いが難航した。浅原隊長(81)が「いくらでも芝刈りをする」と請け負い、2014年6月29日に芝が植え付けられた。 しばもり隊は、名田島自治会連合会内の組織として結成され、現在50人が所属。1~3月の冬場を除き、3班に分けられた隊員が交代で日曜に集まり、4000平方㍍以上ある芝生を刈っている。草刈り機は歩行型5台と乗車型1台を使用。作業には10人が必要で、機械で草を刈る人と刈った草をポリ袋にまとめる人に分かれて作業に励んでいる。 夏芝と冬芝を植え分けて肥料もまき、年間を通して維持。夏場の水不足が最も危険で、通常は校庭下に設置されたスプリンクラーで賄えるが、あまりに不足し、消防可搬ポンプを使ったこともある。 隊員たちは大変な維持作業に「子どもたちのため」と口をそろえる。同校は現在、複式学級で児童数は30人。かつては統廃合の話も持ち上がっていた。鎌田哲治校長は「普段から鬼ごっこで走り回り、夏のスプリンクラーでの水浴びや冬の土が混じらない雪での雪だるま作りなど一年を通じて芝生で楽しんでいる。しばもり隊の活動がずっと続いてほしい。将来、その活動を受け継ぐ児童が出てくれば」と感謝する。
隊員の平均年齢は70歳以上で、次世代への継承が課題だ。浅原隊長は「児童の保護者など若い人も少しずつ増えてきた。自分たちの活動への思いが伝わってきたのかな」と話す。 昨年8月には同校150周年事業で人文字と芝生アートを空撮。今年4月にはコロナ禍を経て5年ぶりに地域の運動会が行われ、住民の笑顔があふれた。 緑の田と白い校舎に挟まれた芝生を地域のシンボルと誇る浅原隊長は「当初は2、3年たてば草まみれになると言われた。地域の宝である子どもたちの笑顔のため、これからも頑張っていきたい」と話した。