林遣都、不安や怖さを感じても俳優であり続ける理由とは?
直近では待望の続編『おっさんずラブ-リターンズ-』など次々と話題作に出演し、演じた役の数だけ新たな魅力を見せてくれる林遣都。次に挑むのは初舞台から8年ぶりとなる倉持裕作・演出の『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』だ。“舞台”に立つことの意味について語る 【写真】新たな魅力を見せてくれる林遣都
演劇を通して得た気づき
■今回倉持が書き下ろした新作は、林が演じる主人公が、ある出来事をきっかけに不思議な屋敷に誘い込まれ、屋敷の主人達からもてなされているうちに、本来の自分を見失っていく様子を描いた予測不可能の心理サスペンスだ。作品にはどんな印象を抱いたのだろう? 林: 読めば読むほど、人間の深い部分をえぐるようなものを感じさせてくれます。主軸にあるのは男女の一筋縄ではいかないやりとりですが、何人かの登場人物に感じるのは、人間の弱さや欲望、執着心、そして今の言葉で言えば、“マウントを取りたがる人”など……。 たとえ認めたくなくても誰しも共感してしまうような一面が描かれています。でも僕はこれを負としては捉えていなくて、むしろ人間は滑稽で弱い生き物だから面白いと思います。 ■さらに、林自身が自分の弱さを感じる時についても触れた。 林: 僕は自信のある人間ではないので、例えば、今みたいにこういう(取材の)場所で、いろんな人に囲まれて、自分の考えや価値観についてしゃべるのは、正直言って怖いです(笑)。いつまで経っても慣れないです。 でも、最近になって、演じることにどうしてこんなに楽しく没頭できるのかを考えた時に気づいたことがあります。お芝居をする時は“本来の自分”ではないので、それが僕にとって居心地が良いのかもしれないです。 もちろん、意図的に自分というものを投影させようと思わなくても、自分という人間の生き様は当然反映されるとは思います。演じるということは、自分の人生とは違う人生を生きているということなので、その人物に対してできる限り向き合って、自分の人生と同じように大切に生きなくてはならないと思っています。