【青葉賞/記者の特注馬】すべてはダービーのために…執念感じる皐月賞スキップの〝逆算ローテ〟 松岡&ウインマクシマムが〝狙い通り〟に権利奪取へ
[GⅡ青葉賞(ダービートライアル)=2024年4月27日(土曜)3歳、東京競馬場・芝2400メートル] 土曜東京メインのGⅡ青葉賞(芝2400メートル)はダービー切符を求める若駒でフルゲートの激戦になりそうだ。当然、どの陣営も目イチの仕上げで臨むだろうが、しっかりと本番も見据えている馬がいる。立川敬太記者が取材するウインマクシマムだ。 【トレセン発秘話】いよいよ佳境に入った春のクラシック戦線。日本中のホースマンが目標にするといっても過言ではない日本ダービーもすぐそこで、GⅠのトライアルは東西数多かれど、27日のGⅡ青葉賞に出走させる馬の陣営は目の色が違うと思えてならない。“ダービーに出走すること”は、いつの時代も誰もが望む名誉にほかならないのだろう。 この青葉賞に「できれば九分のデキで結果を出して、上積みを持ってダービーへ」と意気込むのがウインマクシマムと松岡のコンビ。同騎手は青葉賞を余力を残した状態で突破しなければ、ダービーでは勝負にならないと誰よりも自覚している一人。いわば目先の勝ち負けではなく、先を見据えての戦術とも言えよう。 ローテの観点からも“目標はダービー”をハッキリと認識させる。同馬は2月4日に行われた前走のゆりかもめ賞で2勝目を挙げ、この時点で例えば弥生賞やスプリングSに出走し皐月賞の出走権を狙う選択肢もあったはずだが、陣営はそれを捨ててダービー一本に絞った。しかも、中間は北海道新冠町のコスモビューファームへ放牧。通常だとさほど長くない間隔で次のレースを目標にするなら、美浦近郊でなるべくトレセンにいるのと変わらない状況で調整できる場所を選択するが、あえてまだ雪の残る北海道で、生産や初期段階の育成を主に行う施設へ向かったのだった。 「コンスタントに(レースを)使ってきたこともあって、充電というか、ひと成長させるなら、タイミングとしてはここしかないと」と畠山調教師。早めの賞金加算ができていれば、それこそ早い段階でひと呼吸入れるローテも可能だったかもしれないが、現状でき得る最善の方策だったと明かした。それこそ、冒頭に記した“松岡の本気度”を含めた、ダービーへの熱量の大きさが陣営の総意なのだろう。 24日の最終追いを終えた松岡は「息遣いがいいし、(トモの)踏ん張りも良くて満足のいく仕上がり。ダービーから逆算して自分なりに考えながらやってきました。競馬に行くと燃えてしまうので、メリハリをつけて」とまずは狙い通りにきた。あとは期待通りの走りで、ダービーの切符をつかむだけだ。
立川 敬太