「50―50」大谷翔平の凄み…スミスコーチ「何かの数値が特別優れているわけではない」「改善の意欲がすごい」
◆米大リーグ マーリンズ4―20ドジャース(19日、米フロリダ州マイアミ=ローンデポパーク) ドジャース・大谷翔平投手(30)が19日(日本時間20日)、メジャーリーグ史上初の「50発&50盗塁」を達成しただけでなく「51―51」まで上乗せし、新たな伝説を作った。敵地でのマーリンズ戦で3打席連続本塁打を放つなど、6打数6安打10打点2盗塁。1試合の安打、本塁打、打点は自己新の大爆発だった。ド軍は12年連続でプレーオフ進出決定。大谷は米7年目にして初めて頂点を目指す舞台に立つ。 ドジャースのコーチ陣も大谷の快挙達成には欠かせない存在だった。50盗塁を支えたコンディショニング担当兼ムードメーカーのトラビス・スミスコーチが語る背番号17のすごさとは―。大谷が信頼を置く参謀が明かした。 大谷の笑顔の先には筋骨隆々の男がいる。アニメ好きのスミスコーチは選手の体調管理の一方、大谷とは春先からドラゴンボールの「フュージョン」ポーズを披露するなどムードメーカーでもあるが、開幕前から快挙の予感があった。 「今季は打撃と走塁だけに集中すればいいから(何かしら偉業を)達成できると思ってたよ。話していく中でも彼は心の中にゴールを秘めていて、もっとうまくなりたいと望んでいると感じたからね」 “投手封印”で走力練習に注力した2月のキャンプでは「デジタルブラ」とも言われるGPS(全地球測位システム)付きのベストで走行速度などのデータを逐一チェック。装置と腰に巻いたベルトをワイヤでつないで走る約300万円の秘密兵器「1080SPRINT(スプリント)」も活用し、50盗塁の土台を作り上げてきたという。 「あのマシン(1080―)は総合的に選手の走るスピードを上げることを補助するものだ。僕は各選手の『力・速度曲線分析データ』を持っていて、例えば30フィート(約9.1メートル)とか90フィート(約27.4メートル)とか短距離の中でどうすればもっと速く走れるかを考えてゴールを設定する。翔平に関しては『どうすれば加速が良くなるか』が課題だった。目標は盗塁の最初の数歩を改善すること。彼は自分でその部分を改善する必要があると認識していた」 塁間のタイムは昨季より0.05秒速くなり、渡米7年目で最速になったが、意外にも「何かの数値が特別優れているわけではない」という。 「一生懸命練習したいというメンタリティーがあるし、トレーニングや試合の学び方についても非常に戦略的に行う。『ベストになりたい』と考えていることが分かる。たくさんのツールを持っている『ユニコーン』。今の彼のゴールは彼のクオリティーを維持し続けることだから」 足元を見つめる大谷を今後も陰ながら支えていく。
報知新聞社