福島で桃の苗木盗難相次ぐ 犯人は果樹熟知か
桃の生産量が全国2位の福島県で昨年末以降、県主力品種の桃「あかつき」やリンゴの苗木が畑から盗まれる事件が相次いでいることが県警やJA、被害農家への取材で分かった。現場は須賀川市に集中。31日までに少なくとも果樹農家4件から計130本(総額40万円)が盗まれた。犯人は「切り戻し」をした下半分を持ち去っており、県警は果樹の知識に詳しい人物の犯行とみている。
「切り戻し」見分け
県警やJA夢みなみへの取材を総合すると、盗まれた苗木は桃120本、リンゴ10本。桃はいずれも1カ月ほど前に植えられた高さ160~170センチで、大半に「あかつき」の銘柄札が付いていた。 切断は地上から120センチ付近で、上半分は畑に放置されていた。リンゴは定植から1年が過ぎたもので、シャベルなどを使って深く掘り起こされていた。 同JAによると、果樹の苗木は冬になると、中ほどから切断する「切り戻し」をして、より強い枝を育てる。県警は、果樹の生育に精通した手口に着目。車でないと運べないほどの量が一度に盗まれていることから、現場周辺のビデオカメラなどから不審車両の特定を急ぐ一方、苗木の販売ルートについても調べている。
「狙い撃ちされた」
被害農家の一人、同市和田地区の嘉斎大樹さん(32)は、昨年12月末に定植したばかりの「あかつき」の苗22本全てが2度にわたって盗まれた。被害に気付いたのは1月18、29日。いずれも前日の昼過ぎまでは植わっていたという。上半分は畑に放置されていた。 嘉斎さんは離農者から借り受けた50アールに苗木81本を植え付け、生産拡大に踏み切ったばかりだった。取材に「品種名が書かれたラベルを付けたまま植えていた。あかつきが狙い撃ちにされてしまった」と言った。
日本農業新聞