主な政党の子どもや若者に向けた取り組み

　２７日投開票の衆院選で各党は、子ども、若者に向けた発信に力を入れ、イラストや漫画による政策紹介をホームページ（ＨＰ）などで掲載している。選挙権を持たない世代に政治への関心を深めてもらうとともに、親世代への浸透を図る狙いもありそうだ。

　自民党は、絵本風に仕立てた子ども向けの政策集「みんなへの約束」を公表した。淡い色づかいのイラストを多用し、平易な言葉で説明。政治の信頼回復を目指す党の姿勢について、「給食を食べる前に手を洗う」といった、子どもに身近なルールに例えて伝えている。自民関係者は「子どもが成長して選挙権を持った時の支持につなげられる。親に一緒に読んでもらい、党の政策を知ってもらう機会にもなる」と語る。

　立憲民主党も、絵本風の「子どもたちに読んでほしい５つのこと」を公開した。「子どもの権利条約」を解説した上で、児童手当の拡充や、「ブラック校則」と呼ばれる不合理な校則の見直しなどの政策を紹介した。

　日本維新の会は、党の政策や方針を説明した４コマ漫画をシリーズで作成した。イノシシを擬人化した党のキャラクターが主人公で、職場での会話などを通じて「身を切る改革」の内容などを解説している。

　公明党は、全ての漢字にふりがなを入れた「こども・子育てマニフェスト２０２４」を公表した。「こどもの幸せを一番に考える社会」など６項目を「お約束」としてまとめた。

　共産党は、公約を漫画風のイラストを使って紹介した。国民民主党は公約に「若者減税」を掲げ、働く若者を対象に所得税や住民税の減免などを訴えた。

　２０１６年６月から、選挙権年齢は「１８歳以上」に引き下げられた。２１年衆院選の投票率は５５・９３％だったが、１８、１９歳の推定投票率は４３・２３％で全体を下回った。文部科学省の主権者教育推進会議座長を務めた政治解説者の篠原文也氏は「子ども向けの政策集は世の中の動きに関心を持つきっかけになり、将来の投票率向上につながる。政治に関わっているという実感が主権者意識を育む」と指摘している。