ドリスがいない初の「ドリス ヴァン ノッテン」 変わる指揮官による統率に期待
そこに加えたのは、下着を思わせるセクシーなムード。キャミソールのような生地やシルエットにドレープのドレスや、ペチコートのようなパンツをたびたび登場させて、魅惑的な女性像を描こうとする。しかし、これが今の「ドリス ヴァン ノッテン」にはまだ少し唐突だったのか、色柄が強すぎたのか、ドレープがキツかったり丈が短すぎたりしたのか、生々しいイメージにつながり、損をしてしまった印象だ。ジャケットやシャツ、ニット、そしてパンツなどは、長年の知識と経験で人々が「ドリス ヴァン ノッテン」に期待する洋服に達したが、ランジェリーに着想を得たアイテムでは、その域に達しきれていない。
ドリスから服作りを学んだチームを統率する人物の必要性を改めて知ると同時に、本当に「ドリス ヴァン ノッテン」からドリス・ヴァン・ノッテンという人物がいなくなったことを改めて認識させられた。まだ夢の中だった25年春夏メンズよりも悲しい気持ちになった来場者も多かったようだ。一方、新たな指揮官が決まれば、多少の変化はあるだろうが今のデザインチームが存在する限り、「ドリス ヴァン ノッテン」というブランドは引き続き魅力を放つだろう予感は抱けた。素直に嬉しいことだ。