何歳になっても「気持ちが若い人」でいるための秘訣
ジュディ・フォーダイスが幸せを感じる瞬間-それは、壮大な山の景色を堪能し、冷たい空気を吸い込んでから「踊るように」ゲレンデを滑り下りるとき。「滑っていると自分が生きている感じがするし、穏やかな気持ちになれます。達成感と自由な感覚、健康であることから来る爽快感に満たされるんです」。これには多くのスキーヤーが共感するはず。でも、ジュディは59歳でスキーを始め、それから12年経ったいまでも、ゲレンデを元気に駆け回っているというからすごい。 【写真】あなたを老けて見せる6つの習慣 キャロル・ニーダーランダーもまた、60歳で詩の美術学修士号を取得して、他のアーティストとスタジオを設立し、自分の詩集を出版した。現在75歳のキャロルはトレーナーと一緒にワークアウトを続けており、夜はクラシックやジャズを聴きに行く。週末は、マッチングサイトで出会った物理学の教授とイリノイ州シャンペーンにいることが多い。「この交際には自分でも驚いていますが、とても楽しいですし、科学者という新しいタイプの仲間たちと知り合う機会もあります」 どちらも女性は自分の年齢を強く意識していて、ジュディに関しては自分のヒザでモーグルはできないことを自覚している。でも、自分の年齢を理由にくよくよせず、「70代の人は〇〇するべき/しないべき」という周囲の意見を気にしないという意味で2人は若い。「いまの私は10年前の私より気持ちが若い」と語るジュディ。「これは自己成就的予言だと思います」
期待を裏切る
これまでの研究結果もジュディの意見を裏付けている。年を取ることに対する考え方は、その後の人生の展開に影響を及ぼす可能性がある。スキーを始めたり、学業に復帰したりするには年を取りすぎていると思っていたら、たぶん何も起こらない。周りの人がネガティブな意見を押し付けてくる場合は特にそう。米ノースイースタン・イリノイ大学の心理学助教授で老年学プログラムコーディネーターのリサ・ホリス=ソーヤー博士によると、「私たちの多くは仲間のメンタリティに同調する」そう。 例えば、自分が年を取ったことや全盛期が過ぎたことをグチグチ言う人たちに囲まれていると、あなたがまだ40代でも同じように考えるようになってしまう。家族の影響も大きい。「若い大人は、自分の母親を“母親”や“おばあちゃん”以上の存在として見ようとしないことがあります」とホリス=ソーヤー博士は続ける。 ジュディの娘たちは、彼女の挑戦を応援してくれているけれど、ちょくちょく反発してくるのも事実。 「この先3カ月の旅行の予定を娘たちに送ったら、皮肉交じりに『お母さんはいつになったら年相応に振る舞うの?』と言われました」とジュディ。「別の娘は、私が少しでもケガをしたと思うと『もうスキーはやめなさい!』と言ってきます」 でも、旅行や新しい趣味の習得といった身体的・精神的な活動を制限したところで老化が止まるわけではない。むしろ、ブレーキを踏むと老化が早まる。「長年の研究結果を見る限り、何かで自分を忙しくしておくのは良いことです」と説明するのは、米アラバマ大学助教授のイアン・M・マクドノー博士。たしかに近年の研究結果も、忙しい人は賢く、頭が切れて、認知的に健康な傾向が強いことを示している。「でも、認知機能のためを思うなら、難易度の高い斬新な活動を選びましょう。いままでとは違う方法で脳を使う活動なら何でもいいですよ」