島根の高校演劇界に新風 廃部状態から復活、放送部から改名・・・ 松江南、横田、松江工が表現力競う 21、22日に中国大会
部員不足だった島根県の高校演劇界で、廃部の危機から復活した演劇部や、放送部が演劇も兼ねる高校も稽古に打ち込み、新風が吹き始めている。12月下旬の中国地区高校演劇発表大会には、そんな2校が郷土の偉人や地域課題を物語の主題に県予選を勝ち抜いて出場。若者の自己表現の場として演劇に注目が集まる。 【動画】島根の高校演劇界に新風 松江南、横田、松江工が表現力競う 21、22日に中国大会
松江市の松江南演劇部は昨年、一昨年、部員不在で廃部状態だったが本年度は1年生が一気に15人入部。全員初心者で挑み、7校が出場した県大会を突破した。声優に関心があり、演劇に興味を持った山口藍さん(16)は「自分と違う性格の役を、自分なりに解釈してなりきることで疑似体験ができる楽しさがある」と演劇の魅力を語る。 作品は松江ゆかりの明治の文豪・小泉八雲と妻セツの交流を描いた「ヘルン先生」。セツなど複数の役を演じ、人と人が支え合って生きる大切さを訴える。 松山留偉(るい)さん(15)は中学時代、生徒会の劇で演じ、せりふを解釈して表現する楽しさを知った。演劇で人前に立つ苦手意識が消え、「声量を上げ表現力を磨くことを意識する」と向上に努める。 奥出雲町の横田は演劇部がなかったが、放送部として演劇の大会に出場したのをきっかけに、部名を「演劇・放送部」に改めて活動を本格化させてきた。関心を抱いて別の部から移ってきた部員ら7人が、大会で過疎が進む地元の活性化を考える「サイワイはここにあり 青春編」を演じる。
バレーボール部から転部した小畑美緒さん(18)は「非現実的な世界で、自分ではない人を演じて伝えたいことを伝えられる」と、演技に熱中する。 中国大会には両校と松江工演劇部(14人)が出場する。松江工の亀尾佳宏顧問(51)は全国的に演劇部が減少傾向にある上、新型コロナウイルス禍も重なって観劇機会も減った現状を踏まえつつ、「若者は本当は表現したい気持ちを持っている。自分の体や声で表現する楽しさを知ってほしい」と話す。 中国高校演劇発表大会は21、22日、松江市殿町の島根県民会館であり、中国5県から11校が出場。全国大会に出場する1校を選ぶ。