価格高騰の「金」取引装う窃盗被害相次ぐ 外国人暗躍、現場で代金すり替え持ち去り
「『百万円札』は、彼らがよく使う道具だ」。捜査幹部は苦々しげに話す。犯人らは、外国人が机の下で紙幣を数えるふりをしてメモ帳とすり替えたとみられる。
この事件も含めて、都内では純金の取引に応じた人が現金を盗まれる被害が昨年8月ごろから6件発生。被害総額は計約1億5千万円にのぼる。
昨年11月に中央区で発生した事件では、同様に偽の金の粒が「小道具」に使われた。犯人側が突然、粒を床にばらまき、被害者がともに拾っている間に、用意していた現金3400万円が盗まれた。
警視庁捜査3課は9月、この中央区の事件に絡みリベリア国籍の男らを窃盗容疑で逮捕。そして今月、冒頭の千代田区の事件に関与したとして、2人組のうちの一人である英国籍の男を同容疑で逮捕した。いずれも事件直前に入国しており、犯行を終えてすぐ帰国する「ヒットアンドアウェー」の手口だったという。
逮捕された容疑者らはいずれも容疑を否認しており、背後関係は謎のままだ。捜査3課は金の粒を鑑定するなどして関連性を調べている。
「連中は取引相手が見つかれば、また日本に入ってくる」。捜査幹部はこう警告している。(内田優作)