水原容疑者「大谷は誰にも知られたくないと言っている」 「チェッキング口座」を意のままにできた理由
■37ページの訴状を書いた捜査官 水原氏が韓国でドジャース球団から解雇された日からわずか3週間で捜査の詳細を訴状にまとめたのは、IRSの犯罪捜査部門でスペシャルエージェントを務めるクリス・シーモア氏だ。 訴状の冒頭にこのシーモア氏自身の詳細な自己紹介が書かれている点がユニークだ。 2001年から現職についており、犯罪捜査官として20年以上のキャリアがある。 彼のリンクトインのプロフィルの学歴欄には、カリフォルニア州立工科大学ポモナ校の大学院でMBAを取得し、専門は会計学だと書かれている。 さらに会計と経済・金融捜査の技術を連邦政府のトレーニングセンターで身につけ、マネーロンダリング詐欺、ID窃盗、金融犯罪などの捜査を専門とし、様々な電信サーベイランスの技術や、電話通話やテキストの解析などの捜査方法を駆使するとも書かれている。 もちろん逮捕権限も持っている。 また、カリフォルニア州のリバーサイド郡で行われていた投資詐欺の捜査も担当。そのケースでは、犯人に禁錮100年という、郡史上、最長の刑期の判決が出されたことが、彼のリンクトインのプロフィル欄に書かれている。 ちなみにFBIの発表によれば、この投資詐欺事件でだまされた被害者たちの被害総額は3500万ドル(約54億円)ほどで、この金額は、今回の大谷選手の被害額のざっと2倍強だ。 シーモア氏のリンクトインの経歴のスキル欄を見てみると「アンチ・マネーロンダリング」の「トップスキル」と記されている。 水原氏が大谷選手の口座から不正送金した総額24億5千万円以上が、ボウヤー氏の組織を通してどこに流れていったのかも、当然、シーモア氏は捜査しているのだろう。 (ジャーナリスト・長野美穂=米ロサンゼルス) ※AERAオンライン限定記事
長野美穂