夫婦2人の年金額は「月23万円」が標準的!? 現役時代の年収はいくら必要?「専業主婦世帯」「共働き世帯」で試算
多くの人が老後の収入源として年金を頼りにしますが、年金だけで生活していけるのか、将来に不安を感じる人は少なくないのではないでしょうか。厚生労働省が発表している2024年度の年金受給例では、夫婦2人分の標準的な厚生年金額(老齢基礎年金を含む)は、約23万円となっています。 それでは、この金額を年金で受け取るには、現役時にどれだけの年収が必要なのかをシミュレーションしてみましょう。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
共働きなら年収400万円でもじゅうぶん可能、夫だけなら…
本記事では、夫が会社員で妻が専業主婦(第3号被保険者のパート勤務を含む)の場合(ケース1)と、夫婦ともに共働きの場合(ケース2)で考えます(図表1)。また、年金の仕組みとして、3階建て構造で説明されることがありますが、本記事では1階部分である国民年金と2階部分の厚生年金をベースに説明します。 ケース1の場合、夫は国民年金と厚生年金を受給できますが、妻は国民年金のみの受給となります。専業主婦ではなくパートなどで働いている場合でも、130万円の壁といわれるような一定の年収までは夫の社会保険の扶養対象となるため、厚生年金は対象とならないことがあります。ケース2の場合は、夫婦どちらも国民年金と厚生年金の受給対象とします。 2024年度の国民年金の満額は月6万8000円(年間81万6000円)となりました。前年から2.7%(月額1750円)の増額です。そのため、残りを厚生年金でまかなうことができれば月額23万円を年金として受給することができます。 図表1
筆者作成 厚生年金の大まかな計算方式は以下のようになります。計算を簡略化していますので、実際の金額とは多少異なる点にご注意ください。 【厚生年金額=平均標準報酬額×5.481/1000×被保険者月数】 40年間(480ヶ月)働いて、厚生年金を9万4000円(年間112万8000円)受け取りたい場合、平均年収(ボーナスなどを含む)は515万円となります。この金額は、入社から退職までの平均金額を意味しています。年齢が上がるにつれて年収も増えるような給与体系の場合だと、最終的な年収は600~700万円程度必要になるかもしれません。 112万8000円=標準報酬月額×5.481/1000×480 標準報酬月額≒42万9000円(/月)≒515万(/年) 次に、夫婦で9万4000円について考えてみましょう。夫の年収を450万円、妻は家計を助けるために20年間働き、その間の平均年収は150万円とします。この場合、夫の厚生年金は月8万2000円、妻の厚生年金は1万4000円となり、夫婦合わせると9万4000円を超えます。この金額であれば難しくないと感じる人は多いのではないでしょうか。 <夫の厚生年金額> 450万円÷12×5.481÷1000×480=98万6580円≒月額8万2000円 <妻の厚生年金額> 150万円÷12×5.481÷1000×240=16万4430円≒月額1万4000円