「たかが300円されど300円」宿泊税に宿泊事業者は困惑 宮城県と仙台市が導入を目指す
khb東日本放送
宿泊者に1泊300円を課税し、その財源を観光振興に活用しようという宿泊税について 宮城県と仙台市が導入に向け協議を進めていますが、賛否両論が巻き起こっています。 【写真】宮城県の制度案
観光振興を目的とする宿泊税について、宮城県は2018年から、仙台市は2020年からそれぞれ導入に向けた協議を続けてきましたが、新型コロナの感染拡大を受け議論は一旦休止となりました。 しかし、仙台市は3年8カ月の中断を経て2023年11月に議論を再開しました。続いて宮城県も2024年1月に「県内の経済が順調に回復している」として議論を始めました。8月に入り導入に向けた動きが本格化してきました。 梶村和秀宮城県経済商工観光部長「7割近くの事業者に宿泊税の必要性についておおむねご理解をいただいたものと認識しています。宮城ならではの魅力ある観光コンテンツの造成、磨き上げの強化を図る」 【画像】宮城県の制度案 宮城県が示す制度案は、課税の対象は素泊まり1泊6000円以上で1人1泊300円を課税します。仙台市での宿泊の場合は仙台市分が200円、宮城県分が100円となります。 修学旅行など教育活動や部活動での宿泊、保育園や認定こども園の活動については課税を免除する方針です。 この案ついては県議からは。 菊地恵一県議「是非良い方向に持っていけるように、あの時大変だったけど結局良かったよねと全ての人に思ってもらえるような形でこれからも引き続き取り組んでいただきたい」 吉川寛康県議「なぜ税が必要なのか、そもそものところが私の周りだけなのかもしれなませんけれども話していると理解できていない人がやっぱり多いですね」 同じ日、仙台市議会では宮城県議会以上に導入に向け慎重な意見が交わされました。 郷古正太郎市議「何ができるのかビジョンがなかなか見えてこない」 佐藤正昭市議「福岡県は200円であります。福岡市150円、福岡県50円という形。宮城県、仙台市は300円ですよ、異常に高いとしか考えられないですね」 ふるくぼ和子市議「宮城県と仙台市が勝手に決めて300円に設定した。でも宿泊事業者が合意や納得しているわけではない」 【画像】宿泊事業者などが反対 宮城県の宿泊事業者団体や宮城県議会の共産党会派などからも、相次いで宿泊税の反対を訴える要望がありました。 「我々宿泊事業者は宮城県の宿泊税導入に納得も共感もしておらず、宿泊税の徴収そのものに強く反対する」 2020年4月から導入を始めた福岡県、福岡市、北九州市の場合、2016年に宿泊税による財源確保を明記してから4年の歳月をかけて慎重な審議を重ねた末に導入を決めたということです。 宮城県の場合は議論を再開させてから1年足らずでの条例案提出に、宿泊税を徴収する側の宿泊事業者からは慎重な声が聞かれました。 大崎市鳴子温泉の玄関口、川渡温泉で温泉旅館を経営する遊佐久則さんです。 宮城県が主張する「7割の宿泊事業者が理解を示している」という部分に触れ、宿泊税導入には到底納得できないと話します。 旅館ゆさ遊佐久則さん「私たちの認識としては8割9割が反対という認識。それがなぜ7割の人に理解してもらったという答弁が出るのか不思議」 【画像】導入に慎重な声も 宮城県は宿泊税による財源を「魅力ある観光資源の創出」「観光産業の活性化」「観光客受け入れ環境整備」「国内外との交流拡大の促進」の4つの柱を掲げ、年間11億円の税収を想定しています。 しかし、遊佐さんは財源の使い道が不透明でどこの観光地を優先的にてこ入れしていくのかについて疑問が残ると指摘しています。 旅館ゆさ遊佐久則さん「ウェートはたぶん仙台、松島、もしくは蔵王その辺のところにウェートはいくと思う」 一方、宿泊税の課税対象にはならない6000円の免税点以下の宿泊料金を設定する湯治専門の高東旅館でも、今回の宿泊税導入は看過できないと反対を主張しています。 高東旅館高橋寛光さん「議論がないまま宿泊税というのが進んできたというところで、1回ゼロベースにしてしっかり話し合ってそのうえで宿泊税が必要なんだというなら分かるが、それが無いまま宿泊税というのは乱暴だと思う」 こうした反対の声を払拭するため、村井宮城県知事は自らが説明会に出席し理解を求めることを明らかにしました。 村井宮城県知事「県政の責任者として職員だけではなくて、私自ら出て説明した方がいいのではないかなと考えたということであります」 現在、宿泊事業者には消費税、温泉がある場合は入湯税が課せられています。宿泊税が導入されれば三重の課税が重くのしかかります。 旅館ゆさ遊佐久則さん「300円って結構大きな金額ですので、お金がある人はたかが300円と言うかもしれませんが商人にとってはされど300円、そういうことだと思います」
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