農畜産物できる前に販売 LINEで育てる喜び共有 ホクレンECサイト
生産現場リアルさ発信
ホクレンは、数カ月間にわたる農家の思いや作物の状況などをLINEで発信し、最後に出来上がった農畜産物を消費者に届けるユニークな企画を展開している。順調に育っていく様子を伝えるが、時にはトラブルも紹介する「リアルさ」が売りだ。消費者に農家の苦労を理解してもらう一方、農家は思いを伝えることができ、双方から好評だ。 展開しているのは、「育てる+PLUS」という企画。約600点の農畜産物や加工品を扱うホクレン電子商取引(EC)サイト「HOKUREN GREEN +PLUS」内にある。 最初に消費者は、野菜や肉、チーズなどの農畜産物を一定の募集期間に購入する。商品はすぐに発送されるわけではなく、農家が生育状況や作業風景を、メッセージや画像でLINEやメールで配信、数カ月かけて出来上がった後に購入者へ届けられる。 今年はメロンや牛乳、肉、チーズなど10品目で展開。全体で60人ほどの消費者が参加した。消費者からは「生産者が農産物を見守っていることが分かった」「届くまでの時間が楽しみになる」と好評だ。 今年初めてチーズを出品した、夫婦で酪農とチーズ工房を手がける日高町の伊藤彩さん(36)は、搾乳や牛への餌やり、仕込んだチーズが出来上がる様子などを農家視点で配信。気温や湿度に敏感なチーズの発酵に失敗したことなども正直に文章や画像でつづった。 伊藤さんは「他の農家と混ぜて共同販売する牛乳はこだわりを主張できないけれど、チーズをいかに生乳からこだわって作っているかを消費者に直に伝えられた。参加して良かった」と話す。チーズ工房は、稼働して間もないため、PRにもつながったと感じている。 ホクレンは「さまざまなECサイトがある中、生産者のことをしっかり発信することが役目だと考えている。生産者と消費者をつなぐ仕掛けを今後も展開したい」(流通開発課)とした。(石川大輔)
日本農業新聞