普及進まぬ電子投票「簡単やった」「ええと思う」 国内8年ぶり大阪・四條畷市で始まる
国内の選挙で約8年ぶりに「電子投票」を行う大阪府四條畷市長選と市議補選の期日前投票が16日午前、同市役所で始まった。一般的なタブレット端末の画面に表示された候補者らの選択肢をタッチして投票するもので、投票所を訪れた有権者から「意外と簡単」「紙より良い」という声があがった。電子投票が他の自治体にも今後普及し、投票率上昇につながるかにも注目が集まる。 【グラフィックでみる】大阪府四條畷市長行われた電子投票の仕組み ■開票時間短縮のメリットも 総務省によると、電子投票は平成14年から地方選で認められた選挙制度で、これまで10自治体の25選挙で実施。ただ、機器のトラブルや端末事業者の撤退などの要因で普及が進まず、28年1月の青森県六戸町議補選を最後に行われていなかった。 16日午前に四條畷市役所の期日前投票所で一番乗りで投票した同市の高校3年、大久保雅哉さん(18)は10月の衆院選に続く人生2回目の投票で「紙(の投票用紙)に書くより簡単。電子投票がもっと広がるほうがいい」と感想を話した。 ふだんはタブレット端末を使わない中高年からも好評だった。同市の主婦、森田晴美さん(67)は「できるんかなと思ったが、思ったより簡単やった」と笑顔。同市の元会社員、岡田健雄さん(77)は、電子投票の実施を知らず「びっくりしたが、直感的に操作の仕方は分かった。ええと思うで」と話した。 同市長選と市議補選では、令和2年に総務省が実施条件を緩和して使用可能となったタブレット端末を投票機器に使用。電子部品大手の京セラが提案するシステムを採用し、投票所16カ所で約200台のタブレット端末を使う。投票数は市長選、市議補選ごとにタブレット端末につけたUSBメモリーやSDカードに記録し、22日に開票所でパソコンにデータを読み込んで集計する。インターネットは使わない。 市選管によると、電子投票の経費として約4500万円を計上。投票用紙を使う従来の投票に比べ、開票作業に必要な人員を減らせ、開票終了までの時間短縮が見込めるメリットがあるという。 投開票は22日。市長選はいずれも無所属新人で元市職員の銭谷翔氏(36)、元市議の渡辺裕氏(50)の2氏が立候補。市議補選(欠員1)は新人2氏が争う。