【Bリーグ】サンロッカーズ渋谷、“勝負”の新体制2年目へ──ベンドラメ礼生「選手それぞれの良さを出す余裕ができている」【バスケ】
ディフェンスのさらなる連係強化が飛躍のカギ
前述したとおり、秋田とのゲーム2は非常に円滑にオフェンスが回った印象だ。一方で71失点も悪くない数字(昨季は平均74.1失点)。だが、パヴィチェヴィッチHCとベンドラメが口をそろえたのが、ディフェンスでの連係強化についてだった。 パヴィチェヴィッチHCは「今年の夏に新しい選手を加えて、チームが一つになるためにハードな練習をこなしています。でも、すぐにチームが一つになれるとは思いませんし、まだまだギャップがあります。それをなるべく小さくしなければなりません。負けを(成長の)代償として払わなくてもいいようにしていかなければなりません。具体的には、オフェンスよりもディフェンスのギャップが、昨季いた選手と新しく入ってきた選手とであると思います」と話しており、ベンドラメも「ディフェンスのコミュニケーションは“あうんの呼吸”があって、ある選手が抜かれたときはこの選手がヘルプして、逆サイドの選手がローテーションする。誰が抜かれたら誰がヘルプして誰がどこに動くかというところまで(パヴィチェヴィッチHCのシステムでは)全て決まっているので、特に新加入選手にとってはそれを頭に入れるのが難しいです。1年間やってきた僕たちは自然にできることですが、そのレベルまで引き上げるのがすごく大変。ただ、すでに分かっている選手が多い分、昨シーズンよりも新加入選手たちの理解も早いのかなと思います」 ベンドラメが語るように、パヴィチェヴィッチHCは完璧を求める指導者だ。そして、完璧な“ルカ・スタイル”を体現したからこそ、A東京は連覇という偉業を成し遂げることができた。 ただ、A東京が連覇した当時と比較するとBリーグ全体のレベルが格段に高まっていることも見逃せない。その理由としては、リーグの発展に伴ってNBAや欧州、豪州などで鳴らした実力派の外国籍選手が多く日本にやってきたこと、帰化選手の増加やアジア特別枠の導入が、より柔軟性あるラインナップ展開につながったことなどが挙げられる。タレントレベルが上がったことで戦術的なトレンドや選手の起用法も大きく変化した。これらを裏付けるように、A東京の連覇以降、その偉業を達成したクラブはなく、昨季は広島ドラゴンフライズが、一昨季は琉球ゴールデンキングスがそれぞれ西地区から王座に就いた。 SR渋谷も優勝を狙えるだけの戦力はそろっているが、それだけでは優勝できない。優勝レベルのタレントと、そのタレントの調和──SR渋谷がまず目指すべきは、さらなる連係強化を図りながら中地区を勝ち抜き、チャンピオンシップに出場することだろう。それが成し遂げられて初めて、優勝の二文字が「目標」となる。
写真・文/堀内涼(月刊バスケットボール)