ソニー、単体で“360立体音響”サウンドバー「HT-A9000/A8000」
ソニーは、単体で独自の立体音響技術「360 Spatial Sound Mapping」が利用可能になったサウンドバー「HT-A9000」と「HT-A8000」を6月1日に発売する。いずれも価格はオープンプライスで、店頭予想価格はA9000が21万円前後、A8000が14万円前後。 【画像】前モデル「HT-A7000」(左)と並べたところ あわせて発表された4本のワイヤレススピーカーでサラウンド環境を構築する「HT-A9M2」やワイヤレスネックバンドスピーカー「HT-AN7」については、別記事で紹介する。 また、これら4製品には「ブラビアとの親和性強化・セット利用促進のため」に、「BRAVIA Theatre」というマーケティングネームも導入され、HT-A9000は「BRAVIA Theatre Bar 9」、HT-A8000は「BRAVIA Theatre Bar 8」と名付けられた。 ■ HT-A9000(BRAVIA Theatre Bar 9)の特徴 サウンドバー「HT-A7000」の後継機種。本体の幅は1,300mmで前モデルと同様だが、奥行きが113mm(前モデルは142mm)、高さが64mm(前モデルは80mm)とコンパクトになり、体積比では36%のスリム化を果たした。 スピーカー構成は前モデルから2基多い13基構成に進化した。内訳はツイーター×3、ウーファー×4、イネーブルドスピーカー(フルレンジ)×2、サイドスピーカー(フルレンジ)×2、ビームツイーター×2。パッシブラジエーターも4基備える。総合出力は585W。 このうちウーファーとイネーブルドスピーカー、サイドスピーカーは本体サイズはそのままに、振動板の面積を拡大させたソニー独自の「X-Balanced Speaker Unit」となっている。 センター・L・Rの各チャンネルがツイーター+ウーファーの2ウェイ構成となり、センター用のツイーターは新規開発された大型のものを搭載。左右chのツイーターはハイレゾ対応の高解像度ツイーターとなる。 内蔵サブウーファーは撤廃されたものの、4基のウーファーとパッシブラジエーターにより、スリムな筐体でパワフルな低音を実現している。新搭載のサイドスピーカーでは側面からフルレンジのサラウンド成分を再生、ビームツイーターで指向性の高い高音域のサラウンド感を高めるとのこと。 筐体はファブリック地で覆われたシンプルなデザインとなりつつ、本体ベゼルにはアルミニウムを採用している。 ■ HT-A8000(BRAVIA Theatre Bar 8)の特徴 サウンドバー「HT-A5000」の後継機種。外形寸法は従来の1,210×140×67mm(幅×奥行き×高さ)から1,100×113×64mm(同)に小型化。体積比で30%のスリム化となった。 スピーカー構成は前モデルから2基多い11基。内訳はツイーター×3、ウーファー×4、イネーブルドスピーカー(フルレンジ)×2、サイドスピーカー(フルレンジ)×2。総合出力は495W。 こちらも前モデルで搭載されていた内蔵サブウーファーが撤廃されたほか、上位機種となるHT-A9000に採用されているパッシブラジエーターやビームツイーターも非搭載となる。 HT-A9000と同様、ウーファーとイネーブルドスピーカー、サイドスピーカーは「X-Balanced Speaker Unit」を採用する。 筐体はファブリック地で覆われたシンプルなデザインで、ベゼル部はアルミニウム調のプラスチック。 ■ サウンドバー2機種共通の特徴 従来は別売りの専用リアスピーカーが必要だった「360 Spatial Sound Mapping」が、サウンドバー単体で利用可能となり、「空間が音で満たされる360立体音響が手軽に」楽しめるようになった。HT-A9000の場合、サウンドバー単体では前方から側方にかけて5個のファントムスピーカー(仮想スピーカー)が生成される。 継続販売されるリアスピーカー(SA-RS5/SA-RS3S)との連携も可能で、その場合は前後左右を取り囲むようにファントムスピーカーが生成される。HT-A9000の場合、リアスピーカー「SA-RS5」とサブウーファー「SA-SW5」を組み合わせると、11個のファントムスピーカーが生成される。 両モデルともサブウーファーと組み合わせると、低音部分をサブウーファーが受け持つため、サウンドバー側のウーファーが担当する低域の負荷が小さくなり中音域の音質が向上する。 またリアスピーカー2製品と組み合わせた場合、リアの出力調整範囲が従来モデルと組み合わせた際の+6dBから+10dBに拡張され、より環境に合わせたサウンド調整が可能になった。 音場最適化技術も進化した。本体に内蔵したキャリブレーションマイクを使って、設置位置に応じた最適化ができるほか、スマホアプリ「Sony | BRAVIA Connect」を使った視聴位置に応じた最適化にも対応。ワンタップで視聴位置を識別し、その場所にサウンドを最適化できる。 地上デジタル放送やYouTubeなどのステレオ音源を立体音響化して楽しむこともできる。リモコンから「サウンドフィールド」をオンにすると、ステレオ音源を立体音響化するリアルタイム分析が利用できるほか、AI解析を用いた音声抽出も使用できる。高音質化技術「DSEE Ultimate」も利用可能。 新開発の無線干渉モニター用アンテナを搭載。電波干渉をモニタリングしつつ、干渉を検知した場合は自動で空き周波数帯にチャンネルをホッピングすることで、接続安定性を高めている。 初期設定などにはスマホアプリ「Sony | BRAVIA Connect」を活用。同アプリは各製品に最適化されたリモコンとして動作し、オプションスピーカーや音設定など、詳細設定を行なうことができる。 これにあわせ、付属リモコンは電源や入力切替、音量調整、サウンドフィールド、ボイスモード、ナイトモードのオン/オフができる10キーデザインのシンプルなものに変更された。 入出力はeARC対応のHDMI 2.1が各1系統で、VRRやALLMにも対応する。対応フォーマットはDolby Atmos、DTS:X、360RA、ハイレゾ。Bluetooth受信も可能で、対応コーデックはSBC、AAC、LDAC。Spotify ConnectやApple AirPlay 2も利用できる。 ■ 音を聴いてみた 85型のブラビアと組み合わせて短時間ではあったが、音を聴いてみた。HT-A9000では、まずは鳥のさえずりや虫の鳴き声が聴こえる森の中を歩いたり、川のせせらぎが聞こえたり、雨や雷の音が聞こえてくるDolby Atmosのデモ映像や、映画「エベレスト」のワンシーンを視聴した。 どちらもサウンドバーのみ、「360 Spatial Sound Mapping」を適用した状態で視聴してみると、川のせせらぎや虫の鳴き声などが、耳の横まで広がっているような立体感を味わえる。 映画「エベレスト」では、テントを突然の吹雪が襲うシーンを視聴。こちらもテントの周りで吹く突風の音が立体的に聞こえてくる。また特に印象的だったのは低域の迫力で、今回のモデルでは内蔵サブウーファーがなくなったものの、「ゴオッ!」と吹き付ける風の重たさや勢いが、量感ある低域でしっかりと再現されていた。 また、別売りのサブウーファーと組み合わせると、低域の迫力が向上するのはもちろん、サウンドバー側のウーファーで受け持つ低域の負荷が減ることで、よりセリフがはっきりと聴き取れるようになった。 HT-A8000では、米津玄師のYouTubeチャンネルに掲載されている動画「米津玄師 - 地球儀 Kenshi Yonezu - Spinning Globe(Live)」のステレオ音声を、立体音響にアップミックスして視聴した。 アップミックス再生すると、少しボーカルがこもったような印象になるものの、サウンドが立体的に広がり、実際にライブ会場にいるような感覚で映像を楽しめた。アップミックスはリモコンのボタンを押すだけでオン/オフを切り替えられるので、普段観ている音楽番組やYouTubeなども、気軽にアップミックス再生で楽しめる印象だった。 ■ 新モデル対応の「サウンドバー実寸サイズ用紙」登場 ソニーストアで販売中の「サウンドバー実寸サイズ用紙」も、HT-A9000とHT-A8000、継続販売となるHT-A3000の3モデルに対応したものに変更され、4月19日10時より販売がスタートしている。価格は550円だが、クーポン使用で無料送付となる。 実寸サイズ用紙購入者限定特典として、ソニーストアで対象サウンドバー購入時に長期保証「5年ベーシック」が無料になるクーポンもプレゼントされる。 「サウンドバーに興味はあるが、自宅のラックに入るか不安、テレビとのサイズバランスが心配……」といった悩みを解消できる実寸サイズの用紙。折りたたまれた紙を広げることで、各サウンドバーの横幅、高さ、奥行きが把握できる。用紙には各モデルごとの最大出力、スピーカー数も記載される。 これらサウンドバー新製品は、4月19日からソニーストアで先行展示もスタート。同日からは体験会も予約制で実施している。体験会では自宅のリビングに近い環境で新モデルをじっくり体感できるといい、持参したディスクの再生もできる。予約は19日10時から受付がスタートしている。 同じく19日10時からは、開発者から音作りや製品へのこだわりが聞ける開発者トークショーへの予約も受付開始。開催日はソニーストア銀座が4月27日、大阪が5月11日、名古屋が5月18日、さっぽろが6月1日、福岡天神が6月8日。
AV Watch,酒井隆文