配当金で悠々自適!収入があっても年金が全額免除に…?その理由とは
世の中には、株や投資での配当金のみで生活している人もいるという。 X(旧ツイッター)では、配当金生活をしているというユーザーが「今年も国民年金の全額免除が承認された」とつぶやいていた。 一般的な会社員や自営業者からすると、一体どういうことかと疑問に思うかもしれない。 では、配当金生活を送る人々の税金や年金、社会保険はどのような仕組みになっているのだろうか? 小林 拓未税理士に聞いた。 ●配当金は受け取る際、すでに所得税・住民税が課税されている ーー個人が上場株式の配当を受け取ると、どのような税金がかかるのでしょうか? 個人が上場株式の配当を受け取った場合には、その配当金に対して、20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります(発行済株式の総数等の3%以上に相当する数または金額の株式等を有する個人を除く)。 配当金は支払い時に源泉徴収されるため、原則、確定申告は不要です。確定申告をしなかった場合は、すでに源泉徴収にて20.315%分の税金を支払っているため、課税関係は終了します。 ただし、確定申告を行えば、総合課税(配当控除の適用あり)と申告分離課税(株式等の譲渡損失との損益通算)のいずれかを選択することができます。 ●確定申告不要なら、配当所得は国民健康保険や国民年金の計算上「所得の対象外」に ーー配当所得があり、確定申告した場合としない場合とで、国民健康保険料にはどのような違いがあるのでしょうか。 配当所得があり、確定申告して総合課税または申告分離課税を選択した場合、国民健康保険料の計算上、その配当所得は「対象」となります。一方で、確定申告を行わない、いわゆる申告不要制度を選択した場合、その配当所得は国民健康保険料の計算上、「対象外」になります。つまり、配当所得を確定申告不要にしたほうが、国民健康保険料は安くなる可能性があります。 ーー配当所得があっても、国民年金保険料を全額免除にすることができるのは、どのようなケースでしょうか? 国民年金保険料が全額免除になるのは「前年所得が(扶養親族等の数+1)✕35万円+22万円」の範囲内であり、かつ「免除申請を行った場合」になります。配当所得があっても確定申告を行わない場合は、配当所得は国民年金保険料の計算上、前年所得に含まれません。 なお、免除申請を行わなければ、前年所得ゼロでも通常通り国民保険料を払うことになります。 また、年金を受け取るために必要な期間(受給資格期間)は10年以上必要ですが、保険料の免除が承認された期間は、年金の受給資格期間に算入されます。ただし免除期間は、保険料を納めたときと比べて年金額は2分の1になりますので、将来受け取る老齢年金が少なくなります。 障害年金、遺族年金については、免除期間があった場合でも受け取る金額に影響はありません。 【取材協力税理士】 小林 拓未(こばやし たくみ)税理士 2017年東京都中央区にて開業。「専門家として、長期的な視点で顧問先の発展に尽力する」ことを経営理念に掲げる。2018年から社会保険労務士業務開始。横浜支店と葛飾支店、津田沼支店を開設し、業務拡大中。 事務所名 :税理士法人石川小林 事務所URL:https://www.ktaxac.com ※国民健康保険料、国民年金保険料に関する内容は、社会保険労務士法人石川小林 東滝正明社会保険労務士の協力を得ています。
弁護士ドットコムニュース編集部