”危険運転”後に男はドラレコのカードを捨てた…クラブ帰りの飲酒運転で女性(19)死亡 きょう判決
■繰り返していた飲酒運転
弁護側からの被告人質問の際、「事故前に飲酒運転は何回ほどしたか」という問いに「20~30回ほどだと思います」と答えた男。事故当日はコンビニで買った度数の強い、いわゆる「ストロング缶」などを路上で飲んだあと、クラブでは「テキーラのショットを飲んだ」と述べました。 帰宅途中にパトカーを見かけたときには「飲酒運転で逃げるわ」と車内で発言したといい、発言したときの心境を問われると「逃げることに必死だった」と振り返りました。 男は現在、釈放されて家具製作所で働いているといいます。「毎週、事故現場を訪れ花を供えて手を合わせている」と述べ、今後の飲酒の意思については「ありません」と断言しました。
■死亡した女性の母の思い
証拠調べの際、検察側は死亡した女性の母親の調書を読み上げました。「元気で明るいが繊細な一面のある娘だった」、唐突に突き付けられた愛娘を失った事実に「2週間憔悴しきって起き上がることができなかった」と悲しみがつづられていました。 また、「娘の腕にはクラブ側が未成年に(酒を提供しないために)巻くバンドがあったので娘は酒を飲んでいなかったと思う」、被告の男には「SDカードを投げて自分だけ助かることを考えている。絶対に許せない」と厳しく処罰するよう求めました。
■男の最後の言葉
23日、検察側は論告で改めて男に対して「いかに危険な運転をしたか」、「1人死亡2人重傷という結果の重大性」、「飲酒運転の発覚を免れようとした身勝手な動機」の観点から厳しく指弾しました。 身代わりを立てたことについては「他人を巻き込んでまで責任を免れようと自己中心的な行為」として、事件前から事件後までの男の行動を批判。「事件後も裁判直前まで数回飲酒している」と指摘して、「後悔はしているが深い反省は見られない」などとして懲役10年を求刑しました。 弁護側は「事故当時のスピードは不明である」としたうえで「危険運転であることに争いはないが、危険運転の速度超過のなかでは軽いほうだと考えるべき」、身代わりを立てたことについても「事故当日に警察官に申告して罪を認めているため悪質とまでは言えない」などとして執行猶予付き判決を求めました。 男は最終陳述で「これからの僕の人生、被害者のことを思い続けていきたいと思います」と述べて結審しました。 判決は28日午後3時に言い渡されます。