センバツ高校野球 健大高崎、12年ぶり4強 五回猛攻、雪辱果たす /群馬
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)に2年連続7回目出場の健大高崎は大会第9日の28日、山梨学院に6-1で快勝。初出場した2012年の第84回大会以来12年ぶりの4強入りを決めた。準決勝は休養日をはさみ、第10日の第1試合(30日午前11時開始予定)で、昨秋の明治神宮大会覇者の星稜(石川)と対戦する。【早川健人、稲田佳代、日向梓】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 山梨学院には22年と23年に秋の関東大会準決勝で敗れている。選手たちはミーティングで「同じ相手に三度はないぞ」と話し合ってきた。 一塁側アルプス席最前列で、生徒や学校関係者ら約300人の応援をリードした野球部の控え部員、高木壮磨さん(3年)は「ベンチ入りメンバーを含む男子部員60人全員が昨夜、お互いにバリカンで五厘刈りにした。最近は長髪の学校も増えているけれど、この試合にかける気合を見せたかった」と話した。 均衡が破れたのは五回。1死一、三塁で斎藤銀乃助(同)が「長打を打ちたい欲を捨てた」と中前にはじき返して先制。アルプス席で母の真希乃さん(45)は「銀乃助らしい打撃ができてよかった」と笑顔を見せた。続く田中陽翔(はると)(3年)の中前適時打で1点を追加し、4番の箱山遥人(はると)(同)も「初球から狙って行った」と、左越え適時三塁打でさらに2点を奪った。 七回にも2死二塁で高山裕次郎(同)が適時二塁打を放ち、続く箱山の左前適時打で6-0とリードを広げた。箱山はこの日3安打3打点で、父の政人さん(42)は「今大会、打撃は不調だったが、吹っ切れたのではないか」と胸をなでおろした。 山梨学院の反撃を1点に抑え、準決勝進出を決めた。捕手で主将の箱山は「次は昨秋のチャンピオンの星稜だが、相手がどうこうではなく、負けないという気持ちで投手陣をリードする」と誓った。 ◇地元PVも大歓声 ○…高崎市役所では、大型モニターを使ってパブリックビューイング(PV)が行われた。五回裏に箱山が適時三塁打を放つと、大型モニターの前に集まった人々は「よっしゃ」「やった」と拳を突き上げて喜んだ。ひときわ大きな声援を送っていた市立矢中小4年、逸見風空(がく)さん(10)は「最高でした。絶対勝つと思った」。同4年の高橋惟仁(ゆいと)さん(10)は「次もバンバン打ってほしい」と話した。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇ピンチ切り抜けた度胸 健大高崎 石垣元気投手(2年) 1、2回戦は、八回から投げて2回ずつを無得点に抑えていた。「今日もそのつもり」だったが、先発した左投げの佐藤龍月(りゅうが)(2年)が指に血まめを作り、味方が4点を先制した直後の六回に登板した。 「急きょキャッチボールを始めて、肩ができていなかった」。2四球と安打で、いきなり1死満塁のピンチを招いたが、二ゴロの併殺で切り抜けた。八回も2連打され、四球で無死満塁。犠飛で1点を失ったものの、後続を打ち取った。 昨秋の関東大会で山梨学院相手に完投し、2-3で逆転負けした。「自分のせいで負けた」と、この日は雪辱を期してのマウンド。「かえって力んでしまった。4イニング投げたうちの3回で先頭打者を出したのが反省点」と声を落とした。 北海道登別市から「設備がよく、投手の育成もいい」と、健大高崎へ進学した。アルプス席から見守った母美樹さん(45)は「満塁になってハラハラした。心臓が飛び出しそう」と話したが、「度胸が据わっていて何でも楽しそうにしているのが、我が子ながらすごいと思う」と評価する。背番号10の右腕は試合後、「次はしっかり準備したい」と気持ちを切り替えた。【早川健人】