5人制脳性まひ者サッカー 静岡舞台に新たな全国大会 27、28日「楽しみ 交流の機会に」
静岡市駿河区の草薙総合運動場で27、28の両日、5人制CPサッカー(脳性まひ者サッカー)の全国大会が初開催される。これまでCPサッカーの全国大会は年に一度しか開催されておらず、出場機会を求める選手の声に応え、静岡県内で新たな大会開催を実現した。主催するNPO法人静岡FIDサッカー連盟の瀬戸脇正勝理事長は選手たちの交流を深め、障害者スポーツの継続と活性化を目指す。 CPサッカーは通常7人制だが、今大会は小規模チームでも参加しやすいよう5人制を採用。国内7チームが集い、本県からは静岡市清水区を拠点とする「AQエスフォルソ静岡三保」が出場する。 瀬戸脇さんらが重視しているのは選手同士の交流。大会では出場チームで同じ宿舎を共有し、選手が日常生活の話題や悩みを打ち明けられる機会を設ける。「障害者サッカーはコミュニティースポーツ。同じ仲間と情報共有できる時間が大切」(瀬戸脇さん)。大会2日目には小学生向けのCPサッカー教室も開き、大人の試合を見たり、障害者スポーツに触れたりするきっかけを子どもたちに提供する考えだ。 大会では優勝は決めず、各チーム1日2試合をこなす。「楽しんでもらうのが一番」と瀬戸脇さん。「選手がサッカーを続けられるよう貢献したい。地域全体で障害者スポーツを応援する文化も静岡県から育てたい」と熱を込める。 これまでの活動の中で瀬戸脇さんの印象に残っているのは、県内の特別支援学校のサッカー部から県大会に出場した生徒の母親の言葉。「息子が『大舞台でユニホームを着てプレーできるなんて、夢にも思わなかった』と言ってくれた」と喜びの涙を流したという。 瀬戸脇さんは来年以降の大会開催も視野に入れる。「こういう人がもっと増えるように、静岡から発信していきたい。東京オリパラで環境は整いつつあるが、終わりにしてはいけない。誰もが自分に合ったスポーツに出合えるよう機会をつくりたい」。
静岡新聞社