今年のクマの行動範囲は広がる? 長野県が出没予測
クマの大量出没はなさそうだが、行動範囲が広がりそう――。長野県は今秋のツキノワグマの出没予測をまとめました。ドングリなどの餌の成り具合にばらつきが大きいため、クマの行動範囲が広がる可能性があり、入山した人との遭遇の危険があると指摘。地域によっては里の農地周辺に出没する可能性があり、注意を呼び掛けています。
大量出没の可能性は低い
長野県が21日にまとめた予測によると、通常はドングリの仲間の堅果類などの餌が少なくなる8月がクマ目撃のピークになり、2006(平成18)年の大量出没以降は堅果類の豊凶に合わせて4年ごとに大量出没を繰り返しています。 今年の堅果類の豊凶調査によると、ミズナラ、コナラは凶作から大豊作までばらつきがあり、ブナは大凶作~並作。クリ、クルミは並作で、県北部を除き全般に豊作、凶作の地点差、単木ごとの差が目立ちます。
一定の結実があるためにクマの大量出没の可能性は低いものの、地点や単木ごとのばらつきが大きいことから行動範囲が広がり、キノコ狩りなどで入山した場合のクマとの遭遇の危険があるとしています。 ナラなどの着果量が少ない浅間山麓や木曽地域では、森林に近い農地周辺のカキやクリなどを狙ってクマの出没が増える可能性もあります。 このため県は「県内の森林にはどこでもクマが生息しているので、クマと遭遇しないことを基本にしてほしい」と指摘。(1)森林に入るときは複数で行動し、鈴などで音を出す、(2)カキなどの不要な果実や生ごみ、作物などがクマの餌にならないよう注意する、などとしています。
また、万一クマと遭遇したときは「クマから目を離さずゆっくりその場を離れる」。クマは追いかける習性があるので、背を向けて逃げるのは危険。小グマを連れた母グマは非常に危険で、その場を静かに離れるよう求めています。 長野県内の里地でのツキノワグマの目撃情報は、今年6月に183件、7月に157件を数え、昨年より増加傾向です。過去には平成18年8月に817件、同9月に909件と大量出没の記録もあります。
--------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説