囲碁名人リーグ 井山王座、山下九段に勝ち開幕2連勝 棋聖戦へ勢い
第50期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は9日、2025年の劈頭(へきとう)を飾る井山裕太王座VS.山下敬吾九段戦が打たれ、井山が苦しみながらも最終盤の小ヨセで抜けだし、黒番2目半勝ちして開幕2連勝のスタートダッシュを切った。 【写真】猛烈な追い上げで半目勝負に持ち込みながらも及ばなかった山下敬吾九段=9日、大阪・梅田の日本棋院関西総本部 相手の思惑に乗らない反発を旨とする力自慢の両者は一触即発の緊張感をはらみながらも、なかなか剣を交えない。検討陣からは想定外のヨセ勝負になる可能性も取りざたされたが、中盤の井山の様子見の一手に山下が反発。左下隅の陣地を捨てて左辺の敵の一団の丸のみを図る勝負に出た。しかし誤算があったか、井山に鮮やかにしのがれ、形勢の振り子は大きく井山に傾いた。 AIも井山の勝率90%超を示し、勝負ありかと思われたが、局面を収束する際の判断に誤りがあったようで、山下が上辺に大地をまとめて極微の半目勝負に。最終盤の小ヨセで井山が抜けだし辛勝した。 井山は昨年12月の開幕ラウンド初戦で、芝野虎丸九段との優勝候補同士の決戦を制して24年の対局を締め、25年の皮切りとなる本局も白星で飾り、挑戦者レースの本命に躍り出たと言える。年末年始の名人戦で勢いをつけ、16日から始まる一力遼棋聖との棋聖戦七番勝負に臨む。一力は名人、天元、本因坊を合わせ四冠。井山は王座に碁聖、十段を合わせ三冠。七大タイトルを分け合う両者の文字通りの頂上決戦となる。(大出公二)
朝日新聞社