「昭和っぽい」「懐かしいノリ」アラフィフにぶっ刺さる2024春アニメ
終末世界や、ゴルフの名作も
●『終末トレインどこへいく?』 この作品は、埼玉県飯能市に暮らす女の子4人と犬1匹が電車に乗って、池袋で消息を絶った友人を探しに行く物語です。文明が崩壊した後の世界(=ポストアポカリプス)を舞台にしたロードムービーで、「カオスすぎて続きが気になる」と今期アニメのなかでも評判です。 大人になると動物に変化してしまう吾野駅から出発した「千倉静留(CV:安済知佳)」たちは、さまざまな非現実で不条理なトラブルに巻き込まれます。 例えば3話では、頭からキノコが生えている住民たちに歓迎されます。サウナやキノコ料理を振る舞われて良い気分になる静留たちですが、だんだん言動がおかしくなってきて……実は住人たちはキノコに精神を乗っ取られていて、静留たちを仲間にしようとしていたのです。 「人間がキノコの怪物に豹変して襲ってくる」といえば、1963年(昭和38年)の怪奇ホラー映画『マタンゴ』が思い出されます。昭和の映画ファンをキノコの恐怖におとしいれたキノコ人間が、『ラブライブ!』シリーズなどを手掛けた西田亜沙子さんのかわいらしいキャラクターデザインで令和に蘇ったと考えると、なんとも味わい深いものがあります。 5話でも、小人たちに捕まった静留と「久賀玲実(CV:久遠エリサ)」がロープでぐるぐる巻きに縛られる絵面は『ガリヴァー旅行記』のようですし、脱出した玲実が建物のてっぺんに登って、ミニチュアサイズの軍事ヘリや戦闘機相手に暴れまわるゴリラっぷりは、1933年の特撮映画『キングコング』を彷彿とさせます。 古典的名作のパロディがそこかしこに見受けられる『終末トレインどこへいく?』は、主人公たちが電車に乗って各駅で不思議な体験をして事件に巻き込まれていくという大枠も、『銀河鉄道999』との共通項が見られます。 ロードムービーならぬトレインムービーの終着点=池袋には何が待ち受けているのか、大団円が楽しみの冒険活劇です。