JAL、A350向け没入型訓練装置導入 エアバスと5年契約
エアバスは現地時間9月10日、日本航空(JAL/JL、9201)がA350型機向けの没入型訓練装置「ヴァーチャル・プロシージャ・トレーナー(VPT)」を導入したと発表した。A350を運航する航空会社で、エアバス製VPTを採用したのはJALが初めて。 【写真】JAL A350-900のコックピットや客室 VPTでは、飛行手順や異常事態を想定した訓練を、インタラクティブな操作が可能なリアルな環境で受けられる。JALはエアバスの「MATeスイート(Mobile Airbus Training experience)」を利用し、システムの訓練と練習を実施しており、VPTの導入を決めた。 A350VPTを用いた最初の訓練コースには、JALの12人のパイロットが参加。JALの最新訓練コンセプトも組み合わせた取り組みで、VPTの契約は5年間となる。 エアバスが開発したVPT は、航空会社の機体に合わせて調整したVR(仮想現実)空間を提供するため、パイロットの技術力と習熟度の強化に効果的だという。柔軟性が高く、時間や場所に縛られずに訓練を実施できることから、訓練費用と航空機の非稼働時間を最小限に抑えて大幅なコスト効率を実現できるとしている。 JAL運航訓練部の堀川裕史部長は「A350VPTを我々の訓練カリキュラムに導入することで、運航乗務員訓練の質が大幅に向上し、安全運航の堅持に寄与する。 エアバスとのパートナーシップの新たな章が開かれたことをうれしく思う」とコメントした。 8月末時点で、JALは標準型のA350-900を国内線機材として15機、長胴型のA350-1000を長距離国際線機材として5機運航。今後23機のA350-900と、8機のA350-1000が引き渡される見通し。 A350-900のうち、2機は初回発注の未受領分、1機は今年1月の羽田事故で全損となった国内線機材代替機、残り20機は7月のファンボロー航空ショーで正式発注した国際線機材となる。代替機は2025年度下期、追加発注となる国際線仕様機は2027年度から受領を計画している。 今年1月に就航したA350-1000は、ボーイング777-300ERの後継機で、同数の13機を発注。今年度は8機体制となる計画で、羽田-ニューヨーク、羽田-ダラス・フォートワースに続く3路線目の羽田-ロンドン線には今秋から投入する見通し。
Tadayuki YOSHIKAWA