消費者物価は2カ月連続伸び縮小、食料品など押し下げ-2%維持
(ブルームバーグ): 4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の前年比上昇率は2カ月連続で縮小した。食料品価格の伸びの鈍化などが押し下げ要因となった。
総務省の24日の発表によると、コアCPIは前年同月比2.2%上昇した。日本銀行の目標の2%を上回るのは25カ月連続。生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは2.4%上昇と8カ月連続で伸びが縮小。いずれも市場予想と同じだった。
日銀が3月に17年ぶりの利上げに踏み切り、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)も廃止したが、円安傾向に歯止めがかかっていない。国債買い入れ減額の思惑も加わって長期金利は一時11年ぶりの1%台に上昇するなど、早期の追加利上げを含めた日銀の対応に市場の注目が集まっているが、肝心の物価面からは、なお動向を見極めていく局面にある。
日銀が9日公表した4月の金融政策決定会合の「主な意見」によると、同会合では、円安進行を背景とした物価上振れリスクの高まりなどを踏まえ、利上げペースの速まりを意識したタカ派的な意見が相次いだ。植田和男総裁は国会答弁で、円安が今後基調的な物価上昇率に影響するリスクがあると説明している。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.7%上昇となり、前月の2.1%上昇からプラス幅が縮小した。今年の春闘は、連合が5月2日に公表した第5回回答集計時点でも平均賃上げ率が33年ぶりの5%超えを維持しており、賃金上昇分の価格への転嫁が進展するかが注目されている。
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Sumio Ito